富士キメラ総研の国内IT市場調査
「スクラッチ開発」は時代遅れ? 「クラウド」「パッケージ」へ移行進む
富士キメラ総研の調査・分析によると、2019年度のIT市場はクラウドとパッケージ形態の需要が増加する見込み。ソフトウェア売上額については、業種特化型製品の売り上げが全体の8割に上ると予測する。
調査会社の富士キメラ総研がまとめた「業種別ITソリューション市場 2019年版」によれば、2019年の国内におけるアプリケーションの提供形態は、クラウドとパッケージ(既製品)が主流になるという。同社の予測では、企業が2019年に導入するソフトウェアの売上予想額において、業種特化型ソフトウェアの売り上げが8割を占める見通し。AI(人工知能)技術やロボティクスなどのITを活用し、業種固有の課題を解決しようと試みる動きがある。
スクラッチ開発は下火
中小企業ではクラウドサービスの採用が進んでいる。社内でのインフラ構築や保守が必要ない点や、必要最小限の構成要素で利用契約を結べばよいため初期費用を抑えられる点が主な理由だ。富士キメラ総研は2022年度の国内クラウドサービス市場を1兆429億円程度と予測しており、これは2017年度に計上された約8065億円と比べて、およそ29%増となっている。
パッケージもクラウドと同様に利用の広がりを見せており、スクラッチ開発からの移行先として選ぶ企業が少なくない。移行先をパッケージとした主な理由としては、要件を満たさない場合は機能のカスタマイズで補完できる点が挙がる。特に大企業では、基幹システムの開発や構築といった初期整備が一段落し、次フェーズとしてコスト削減を推進する中で、パッケージへの移行を選択するケースがある。個別開発が必要なスクラッチ開発の需要は、開発や運用にかかるコストが足を引っ張り、縮小する見込みだ。
ITで業種固有の課題を解決
ソフトウェアの導入目的を見ると、業種固有の作業プロセスや商習慣に特化した「業種特化型」は約80%、業種や特定の業務に依存しない「業種共通型」は約20%。業種固有の課題をAI技術やロボティクスで解決する潮流がある。例えば製造業では製造コストの削減や製造期間の短縮、技術継承などの課題がある。これらに対し、機械学習による製造プロセスの最適化、データ蓄積による技術の可視化・体系化といった、新たな技術を駆使した解決策が考えられる。
導入目的に関わらない、業種別のソフトウェア導入状況についてはどうか。金融業では既に基幹システムや勘定システムが広く使われている。それらのシステムは2017年度の段階においてリプレースが中心で、今後の市場の大幅な伸びは期待できない。
製造業では、部門単位でのソフトウェア導入がこれまでの中心だった。業務における負担軽減が目的だ。全社的にデータを管理し、システムを共通化することで効率的な業務遂行を実現しようとする動きが広まりつつある。
外食業では、小規模チェーンでのソフトウェア導入が加速している。2019年度は軽減税率制度の導入や消費税率引き上げといった、政府の施策に伴う基幹システムやPOS(販売時点情報管理)システムの改修で、ニーズが生じる見通しだ。
本報告書は調査対象期間が2018年7~10月で、内容は富士キメラ総研専門調査員によるヒアリングと、関連文献・データベースの調査分析に基づく。調査対象の業種は農業、建設業、製造業、運輸業、小売業、金融業、不動産業、宿泊業、外食業、医療業・社会福祉/介護事業、地方公共団体の11種。
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