仮想デスクトップに快適さを求めるなら「HCI」でVDIを構築すべき理由ストレージのボトルネック問題を解消する

HCIでVDI環境を構築すると、さまざまなメリットがある。例えばリソースのスケーリングが容易にできる。VDI環境を構築する際は、ストレージの設計に注意する必要がある。

2019年04月12日 05時00分 公開
[Alastair CookeTechTarget]
画像

 仮想デスクトップの導入を成功させる上で極めて重要な要素は、一貫したパフォーマンスで全てのユーザーに仮想デスクトップ環境を提供することだ。HCI(ハイパーコンバージドインフラ)を利用すれば、VDI(仮想デスクトップインフラ)で重要なストレージの性能を予測可能になり、計画通り迅速にスケーリングできるようになる。

 HCIをVDIに利用する最大のメリットは、ユーザーの増加に応じてノード(サーバ)を追加すると、それに比例して処理能力もスケーリングされる点にある。つまり各ノードで処理するユーザー数を決め、スケーリングの際は必要なユーザー数分のノードを追加すればよい。パフォーマンスの劣化を心配することなく簡単にスケーリングできる。

問題の基になるのはストレージのスケーリング

 VDIのCPU、メインメモリ、ネットワークのスケーリングは単純で、ハイパーバイザーのノードを追加するだけで済む。それと比べてVDI用にストレージを追加するのは、はるかに難しい。小規模なパイロットプロジェクトから大規模な本格運用へとスケールアップすると、ストレージがボトルネックになり、パフォーマンスに深刻な問題が生まれる場合がある。

 その一例として、ある企業のVDIの導入事例を紹介する。この企業が実施した200人のユーザーを対象にしたパイロットプロジェクトでは、パフォーマンスに問題はなかった。そのため、この企業のIT部門は本格運用への移行を承認した。しかし実際の運用環境において2000人のユーザーが仮想デスクトップにアクセスすると、ログインに数時間を要するほどパフォーマンスが低下した。

 この事例における根本的な原因は、VDIに利用するストレージアレイのスペックが、この企業の運用環境を実現できる水準ではなかった点にある。500人以上のユーザーがログインする際に必要なIOPS(1秒間に処理できるI/O数)が不足していた。このストレージアレイのパフォーマンスが、仮想デスクトップのコンピューティング能力に追い付いていなかったのだ。ユーザー数が増加することでストレージのパフォーマンスにどのような影響があるかを予測する手段もなかった。

HCIがもたらすメリット

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 株式会社ネットワールド

すぐ役立つ&初めてでも安心 「NetAppの教科書」決定版

データ環境の急変は、企業のストレージ課題を複雑化させている。性能や拡張性、データ保護、分散環境の一元管理、コスト最適化など、自社の課題に合わせた製品・サービスをどう見つければよいのか。それに役立つ製品ガイドを紹介したい。

技術文書・技術解説 エフサステクノロジーズ株式会社

フラッシュアレイ選びのヒント:最小限のダウンタイムでデータ移行できる製品は

フラッシュアレイ導入を検討する際、既存のリモートストレージデバイスからのデータインポートは気になる点の1つだ。そこで本資料では、最小限のダウンタイムでデータ移行できるフラッシュアレイ/ハイブリッドアレイ製品を紹介する。

製品資料 エフサステクノロジーズ株式会社

初級解説:中小規模向け「フルSSD」&「ハイブリッドストレージ」の実力

近年、企業に蓄積されるデータが爆発的に増加しており、新たなストレージシステムへのニーズが高まっている。そこで、中小規模のニーズをカバーする、フルSSDおよびSSD/HDDハイブリッドのシンプルなブロックストレージを紹介する。

製品資料 エフサステクノロジーズ株式会社

解説:SAN専用オールフラッシュアレイ、99.9999%の高可用性を支える技術とは?

近年のSANストレージには、データの保護と可用性を確保することが求められている。そこで登場したのが、SAN専用のオールフラッシュアレイだ。本資料では、99.9999%を超える高可用性を実現する同ストレージの実力を紹介する。

製品資料 エフサステクノロジーズ株式会社

ストレージ専用OSでどれだけ変わる? データの高速処理や保護に見逃せない違い

ビジネスの成否を左右する要素として、データの重要性がかつてないほど高まっている。これに伴い、データ基盤としてのストレージの役割も一層注目されている。本資料では、多様かつ高度なニーズに応え得るストレージ製品の特徴を紹介する。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...