HCIでVDI環境を構築すると、さまざまなメリットがある。例えばリソースのスケーリングが容易にできる。VDI環境を構築する際は、ストレージの設計に注意する必要がある。
仮想デスクトップの導入を成功させる上で極めて重要な要素は、一貫したパフォーマンスで全てのユーザーに仮想デスクトップ環境を提供することだ。HCI(ハイパーコンバージドインフラ)を利用すれば、VDI(仮想デスクトップインフラ)で重要なストレージの性能を予測可能になり、計画通り迅速にスケーリングできるようになる。
HCIをVDIに利用する最大のメリットは、ユーザーの増加に応じてノード(サーバ)を追加すると、それに比例して処理能力もスケーリングされる点にある。つまり各ノードで処理するユーザー数を決め、スケーリングの際は必要なユーザー数分のノードを追加すればよい。パフォーマンスの劣化を心配することなく簡単にスケーリングできる。
VDIのCPU、メインメモリ、ネットワークのスケーリングは単純で、ハイパーバイザーのノードを追加するだけで済む。それと比べてVDI用にストレージを追加するのは、はるかに難しい。小規模なパイロットプロジェクトから大規模な本格運用へとスケールアップすると、ストレージがボトルネックになり、パフォーマンスに深刻な問題が生まれる場合がある。
その一例として、ある企業のVDIの導入事例を紹介する。この企業が実施した200人のユーザーを対象にしたパイロットプロジェクトでは、パフォーマンスに問題はなかった。そのため、この企業のIT部門は本格運用への移行を承認した。しかし実際の運用環境において2000人のユーザーが仮想デスクトップにアクセスすると、ログインに数時間を要するほどパフォーマンスが低下した。
この事例における根本的な原因は、VDIに利用するストレージアレイのスペックが、この企業の運用環境を実現できる水準ではなかった点にある。500人以上のユーザーがログインする際に必要なIOPS(1秒間に処理できるI/O数)が不足していた。このストレージアレイのパフォーマンスが、仮想デスクトップのコンピューティング能力に追い付いていなかったのだ。ユーザー数が増加することでストレージのパフォーマンスにどのような影響があるかを予測する手段もなかった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。