RPAやチャットbotは「お役所仕事」をどこまで改善できるかAIで作るスマート政府機関【前編】

AIテクノロジーの活用を進めているのは一般企業だけではない。政府機関も利用を進めており、既に具体的なメリットを得ている。米国での事例を紹介する。

2019年10月08日 05時00分 公開
[Kathleen WalchTechTarget]

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 世界各国の政府機関は、その規模を問わず、人工知能(AI)テクノロジーの可能性を急速に実感するようになっている。政府機関は、各種のワークフローや処理にAIテクノロジーを取り込もうとしているだけでなく、事業と個人双方の一般市民を対象に、AIテクノロジーに関する投資や調査に少なからぬ労力を費やしている。

botを利用した政府機関の効率向上

 政府機関とのやりとりには時間がかかることが一般的だ。多くの事務処理が必要で、従わなければならない規制や政策がある。このような状況を考えれば、事務処理や手続きに関する問題、ボトルネック、非効率な状況を解消するために、政府機関が多様な方法でAIテクノロジーを導入するのも当然のことだろう。政府機関はインテリジェントなbotを導入して、積極的にAIテクノロジーを使い始めている。

 バックオフィスの多くのプロセスは、AIテクノロジーの恩恵を受けている。情報の記録、データ入力、事務処理手続き、政策や法的要件への準拠といった作業には、相当量の人手と時間が費やされている。ロボティックプロセスオートメーション(RPA)をはじめとするオートメーションテクノロジーは、このような仕事に人間が費やす時間を減らす目的で導入されている。

 全米科学財団(NSF)、米内国歳入庁(IRS)、米連邦政府一般調達局(GSA)といった米国の政府機関は、RPAとAIテクノロジーの使用によって、既存の労働力を強化し、職員の貴重な時間を節約して、捻出した時間を付加価値の高い作業に使えるようにしている。政府機関はAIシステムを使用して、コンテンツをデジタル化し、フィールド、テーブル、ボックスといったドキュメントの構造と要素を特定し、データを検出/抽出して、承認プロセスに沿ってドキュメントの処理を進めている。

 政府機関は、botを使用して一般市民とのやりとりも強化している。職員のサポートを必要としない問い合わせには、カスタマーサービスチャットbotが24時間体制で対応することで、カスタマーサービスのエクスペリエンスを向上させている。法人登記の方法やサービスの申し込み方法、Webサイトの操作方法といった情報を提供するbotは、その好例だ。このbotは職員による電話対応時間を削減し、ユーザーにリアルタイムで情報を提供できる。ユーザーは通常の業務受付時間を待って、コールセンターに電話で問い合わせる必要がない。

地方自治体でも広がるAIの使用

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