FujifilmのFUJIFILM オブジェクト アーカイブは、S3プロトコルを使ってオブジェクトストレージのように振る舞い、S3のデータを直接アーカイブできる。
Fujifilm(富士フイルム)はLTO(Linear Tape-Open)テープカートリッジ最大手のメーカーだ。同社は、コンテンツをオブジェクトストレージアレイからテープライブラリーに移動するソフトウェア製品「FUJIFILM オブジェクト アーカイブ」をリリースした。米国では「Fujifilm Object Archive」、欧州では「FUJIFILM Software-defined Tape」と呼称する。Amazon Web Servicesの「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)プロトコルで利用できることが特徴だ。
Fujifilmでエンジニアリング部門の責任者を務めるクリストファー・ケホー氏は次のように語る。「オブジェクトストレージアレイはアーカイブ用途での人気が高まっている。だがアーカイブ量の増大につれて容量を追加しなければならないため、コストがかかる可能性がある。テープは今でも最も経済的なソリューションだ。とはいえテープライブラリーにはオブジェクトストレージモードで書き込むソフトウェアとのインタフェースがない。この状況を変えるのが当社のソフトウェアだ」
Fujifilmでコマーシャルディレクターを務めるレザ・エテマド氏は「IT Press Tour」のオンラインプレゼンテーションで次のように述べている。「オブジェクトストレージアレイはランサムウェアの攻撃を受ける恐れがある。テープライブラリーへのアクセスは限定されるため、こうした攻撃が起きることはない」
Fujifilmの考え方は仮想テープライブラリー(VTL)とは真逆の考え方だ。VTLではLTOフォーマットでのデータ書き込みのシミュレーションを行う。だが、物理的にはデータはHDDにコミットされる。
Fujifilmは、データをAmazon S3からテープに移行できるソフトウェアをリリースした最初の企業ではない。テープライブラリーメーカーSpectra Logicは「BlackPearl」を既にリリースしている。FUJIFILM オブジェクト アーカイブは、新しいデータフォーマット「OTFormat」(訳注:2020年4月6日発表)でデータを保持する点が新しい。このフォーマットは、テープ上にデータとメタデータを書き込む。そのためクラウドやオンプレミスに保管されたデータをAmazon S3互換のストレージアレイで即座に再利用できる。
「OTFormatはオープンソース化しているので、当社のソフトウェアを使わなくてもデータを復元できる」とケホー氏は話す。
OTFormatの目的は、2011年に公開されたファイルシステム「LTFS」と同じで、テープに保存したデータをHDDにあるかのように処理できるようにすることだ。LTFSの目的は、NASにファイルを直接、容易に復元できるようにすることだった。
FUJIFILM オブジェクト アーカイブは、LTOテープライブラリーを駆動するサーバにインストールする。このソフトウェアは2つの機能を実行する。ネットワークには、管理者が記述したルールに従って、別のストレージアレイのデータを受け取ることができるAmazon S3互換ストレージの新しいレイヤーとして自身を提示する。
FUJIFILM オブジェクト アーカイブは、受け取ったデータをローカルに保存しない。データをOTFormatに変換してテープライブラリーに書き込む。ただしAmazon S3メタデータを保持するローカルキャッシュを管理する。
「このように、データがネットワークから消えるわけではない。ユーザーが確認したいと思えば、FUJIFILM オブジェクト アーカイブがその要求を受け取って必要なファイルを復元するようライブラリーにコマンドを発行する」(ケホー氏)
エテマド氏によると、FUJIFILM オブジェクト アーカイブはテープライブラリーを悩ませていた唯一の制約を取り除き、テープライブラリーをアーカイブの中心に戻す。つまり、Amazon S3との互換性がないという制約がなくなる。
「当社が実施した調査によると、バックアップしたデータの80%は再び開かれることはない。テープライブラリーの90倍の電力を消費し、より多くのスペースを占有するHDDに保持する意味はない」とエテマド氏は「IBM TS4300 Tape Library」と対比しながら述べる。IBM TS4300 Tape Libraryは、3Uのラックスペースで40本のLTO-8テープカートリッジに480TBのデータを保持すると同時に、同じ物理サイズのHDDアレイにその3分の2を保持できる。
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