AmazonやFacebookなどに学ぶ「売れないコンテンツ」を生まないAI活用法コンテンツ制作におけるAI活用【後編】

コンテンツ制作にAI(人工知能)がもたらす効果は幅広い。音声コンテンツの制作や多言語翻訳まで、AI技術の用途と効果をまとめた。

2020年10月02日 05時00分 公開
[Kathleen WalchTechTarget]

関連キーワード

データ分析 | 機械学習


 Amazon.comやApple、Google、Microsoftなど音声アシスタントを提供する主要な企業は、コンピュータが構造化データを自然言語に変換できるようにする技術「自然言語生成」(NLG)を利用したサービスを導入している。メッセージの作成に時間を費やすことなく、オリジナルのコンテンツをエンドユーザーに配信できるようにするためだ。企業はAI(人工知能)技術を応用したNLGエンジンにより、音声アシスタントに専門知識と業界固有の知識を加えることができる。

 AI技術がコンテンツ制作に及ぼす影響はこれだけではない。

使われるコンテンツをAIで生み出す

会員登録(無料)が必要です

 従来のコンテンツ制作プロセスは時間がかかり、公開する前に人が編集してチェックする必要があった。コンピュータは人よりもはるかに高速に作業できるため、AI技術を活用したシステムを使えば、比較的短時間で数千個ものコンテンツを制作できる。

 ただしコンテンツ制作プロセスから人を完全に排除できるわけではない。AIエンジンが生成したコンテンツを直接視聴者に公開するのではなく、人が内容のチェックとフィルタリングをした上で、さらに編集をかける必要があるからだ。

 読者がコンテンツをどのように利用しているかを把握するためには、コンテンツの監視と測定が重要だ。企業はAI技術を組み込んだ監視ツールを使い、さまざまな異なるメトリック(測定基準)を追跡することで、効果的で魅力的なコンテンツの作成につなげることができる。

 「Facebook」「Twitter」「Instagram」「Pinterest」などの主要SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)各社は、エンドユーザーを引き留めるために、エンドユーザーにとって魅力あるコンテンツを提供する必要がある。そのためにはAI技術を採用して、各エンドユーザーにパーソナライズされたコンテンツを表示するすることが一般的だ。エンドユーザーを継続的に監視することで、主要SNS各社は機械学習モデルを改善し、広告主にリアルタイムのフィードバックを提供し、メッセージを調整してパフォーマンスを改善する。

 AI技術は、コンテンツを異なる言語に翻訳する点においても進化している。これは、コンテンツを再利用したくても多言語に長(た)けたライターがいない多国籍企業にとって、特に重要だ。AI技術でコンテンツを正確に翻訳できれば、時間や人的リソース、コストを節約できる。オリジナルコンテンツの作成者が人であっても、AI技術を搭載したシステムが翻訳作業を担い、それを複数言語のコンテンツとして複製できる。これにより、コンテンツ開発企業はリーチを拡大できる。

 有意義なコンテンツと価値を顧客に提供することは、競争優位性の獲得につながる。コンテンツ制作はここ数年、コンピュータを使用することで大きな進歩があった。この傾向は当分続くだろう。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 DeepLジャパン合同会社

自動車業界に今、言語AIが必要な理由

自動車業界は、多数の国・地域にまたがるサプライチェーンで構成される。それだけに、正確なコミュニケーションは重要な課題の1つだ。その解決策として注目される、DeepLが提供する言語特化型AIはどのように自動車業界を支えるのか。

事例 発注ナビ株式会社

AI活用を阻むリソース不足をどう解消する? 事例に学ぶ上手な補完方法

AI活用が増加する一方、知識や人材の不足から導入に踏み切れない企業も多い。本資料で紹介する大津屋は、画像認識を用いたAI総菜会計システムを構築し、レジ業務の短縮化を実現している。どのように取り組みを進めていったのだろうか。

市場調査・トレンド ServiceNow Japan合同会社

AIを活用したビジネス変革:調査結果に見る銀行業界の現状と変革実現の鍵

AIを活用したビジネス変革の必要性が高まる中、銀行業界でもその対応を迫られている。変革をリードしている組織では、どのように取り組みを進めているのだろうか。1125人を対象に行った調査を基に、変革の現状と変革実現の鍵を探る。

事例 SB C&S株式会社

月のメールは15万通、多忙からの脱却のためSB C&Sが着目した生成AIの基盤とは

生成AIのビジネス活用には、既存サービスを利用する方法と、生成AIツールを自社開発する方法がある。その後者の好例として、自社ビジネスに適したAIチャットツールを、あるクラウドサービスを活用して開発したSB C&Sの事例を紹介する。

技術文書・技術解説 HPCシステムズ株式会社

AI活用で注目、第5世代 インテル Xeon スケーラブル・プロセッサの実力は?

AI活用の推進に伴い、HPCによる大規模計算環境に対するニーズに応えるものとして注目される、第5世代 インテル Xeon スケーラブル・プロセッサ。各種アプリケーションのベンチマークによる第4世代モデルとの比較から、その実力を探る。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...