クラウドストレージの無駄なコストを節約する勘所クラウドストレージコスト削減法【後編】

クラウドストレージの何がコストを発生させているのかを確認しよう。契約内容を再チェックすると、必須ではない要素が存在する可能性がある。必要な機能でも、使い方を工夫することでコストを削減できる可能性がある。

2021年02月17日 08時00分 公開
[Rene MillmanComputer Weekly]

 前編「クラウドストレージの見落としがちな課金要素に注意」では、クラウドストレージの利用に際して何に課金が発生するのかを概観した。後編ではまだある課金要素とコストの削減方法を紹介する。

災害復旧のコスト

 レジリエンスとサービス復旧にも同じ問題が当てはまる。この場合、異なるリージョンやアベイラビリティーゾーンにある二次的な災害復旧環境やフェイルオーバー環境にデータを保持するためのドメイン間のデータ転送に課金されることがある。

 「リージョン間やパブリッククラウド外へのデータ移動にも料金がかかる。パブリッククラウドを利用する企業の大半は、クラウドストレージからオンプレミスのストレージへのデータの移動など、日常のトランザクションに料金を支払っている。そのためテナントが増えるにつれコストが急増する恐れがある」(ブランフォード氏)

大手クラウドプロバイダーのクラウドストレージ料金

 各クラウドプロバイダーは、コストを簡単に比較できるようにしていない。事実、クラウドコストの管理をサードパーティーが提供し、業界全体がそうしたコスト管理を利用するようになってきている。

 AWSの場合、変動要素の多さがコストの正確な見積もりを難しくする。これはMicrosoftもあまり変わらない。同社の複雑なライセンスオプション、割引、価格体系は、かなりの知識がなければ理解するのは難しい。Googleは恐らく価格設定を差別化のポイントとしているため、少し分かりやすい。

 AWSはクラウドサービスの料金ガイドで最新料金を確認できる。「Microsoft Azure」にも「Google Cloud Platform」(GCP)にも同様の料金ガイドがある。

ストレージコストの節約

 最近では、大半のクラウドプロバイダーが各種ストレージの速度を基にさまざまな層を提供している。データを誤った層に配置すると瞬く間にコストが膨れ上がる可能性があるため、データ量、アクセス頻度、業務上の重要性を把握することが重要になる。

 クラウドプロバイダーは、ストレージの使用量、保存場所、サービスの種類に応じて料金を設定する。ストレージの種類としてオンライン、ニアライン、オフライン、アーカイブなどを選択できるため、適切な種類を選べば費用対効果も高くなる。

 月額で料金が設定されるストレージサービスもある。ストレージを数日しか保存しない場合は、最短請求期間が設定されないサービスの方が費用を抑えられるかもしれない。

 ストレージ料金を抑える場合に重要なのがシンプロビジョニングだ。シンプロビジョニングでは、プロビジョニングされた総容量ではなく実際に使った容量に課金される。

 クラウドプロバイダーが用意している監視ツールを利用してパブリッククラウドの使用量とコストを監視し、過度の使用を削減し、不要になったインスタンスを削除する。

 不必要なストレージはコストを上げる恐れがあるため、使わないデータは忘れずに削除する。ただし、早期削除に対して課金するアーカイブサービスもあるため注意が必要だ。

 最後に、データの移動量を削減する。クラウドストレージをプライマリーバックアップ先にしてはならない。クラウドから大量のデータを取り出すと多額のコストがかかる恐れがある。データの重複排除を行えば、必要なストレージ容量が減少する可能性がある。アプリケーションの設計を見直してデータ転送を最小限に抑え、クラウドストレージのコストを削減することも必要だ。

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