クラウドサービスのオプションは複雑化して全体像を把握するのは容易ではない。本記事ではAWS、MS、Googleのクラウドストレージオプションを整理する。
前編(Computer Weekly日本語版 7月15日号掲載)では、ストレージアーキテクチャ(ファイル、ブロック、オブジェクト)のユースケースを3大クラウドプロバイダーのサービスとともに紹介した。
後編では、3大クラウドプロバイダーのストレージオプションとハードウェア製品を整理する。
ファイル:クラウドとローカルストレージで動作するNFSベースのファイルシステムがAmazon EFSだ。AWSはこれを「Amazon EFS標準ストレージクラス」と「Amazon EFS低頻度アクセスストレージクラス」として提供している。Amazon EFSは10GB/s以上のスループットを示す。Amazon FSx for Windows File ServerはAWS専用のストレージだ。
ブロック:Amazon EBSはAmazon EC2と連携する。汎用(はんよう)SSDボリュームのパフォーマンスは3IOPS/GBが基本になる。プロビジョニング済みのIOPS SSDボリュームは、最大6万4000IOPSと1000MB/sのスループットをサポートする。
オブジェクト:AWSのオブジェクトストレージサービスがAmazon S3で、99.999999999%の可用性を誇るというのが同社の主張だ。
ファイル:「Azure Files」はSMBを使用し、クラウドとオンプレミスでファイル共有の同時マウントを可能にする。Windows、Linux、macOSをサポートする。最大ストレージ容量は4PB、イングレス速度25Gbps、エグレス速度50Gbpsを提供する。
ブロック:Azure Disk StorageはAzure Virtual Machines向けのマネージドディスクで、99.999%の可用性を実現する。Azure Ultra Disk Storageの最大容量は6万5536GBでIOPSは16万、Azure Disk Storageの最大容量は3万2767GBでIOPSは2000になる。
オブジェクト:「Azure Blob Storage」はPB規模のオブジェクトストレージで、99.99999999999999%の可用性を実現する。
ファイル:「Cloud Filestore」は「Google Compute Engine」や「Google Kubernetes Engine」(GKS)向けのNASとして提供される。同サービスには「標準」と「プレミアム」というパフォーマンス階層がある。標準は1T~10TB以上の容量をサポートし、10TB以上のシステムは読み取りスループットとして1000IOPS、180MB/sをサポートする。プレミアムは3.5TB以上を最低容量とし、読み取りスループットとして6万IOPS、1.2GB/sをサポートする。
ブロック:Persistent Diskは最大64TBで、標準HDD、固定SSD、ローカルSSD、NVMeストレージを提供する。書き込みIOPSは1万5000~3万、読み取りIOPSは1万5000~10万になる。
オブジェクト:Googleのオブジェクト(BLOB)ストレージ「Cloud Storage」は、パフォーマンスと冗長性の要件に応じてさまざまなロケーションが用意されている。主なストレージ層には「Standard」「Nearline」「Coldline」「Archive」がある。「オブジェクトのライフサイクル管理」ツールは、ユーザーが指定するルールに従ってより安価な階層にストレージを自動的に移動する。
各クラウドサービスは単独で機能する必要があるわけではない。データがローカルとクラウドにまたがって存在することを可能にし、データ移行を支援するためにハードウェアオプションも用意している。
AWSは「Snow」ファミリーを提供する。ポータブルな「Snowball Edge」は、最大42TBのブロックストレージかオブジェクトストレージ、またはデータ転送用に最大80TBのいずれかをサポートする。「AWS Snowmobile」は45フィート国際海上コンテナ(訳注:ISOで規格化されたコンテナサイズ)の形態を取る。AWSはハイブリッドサービスとして「AWS Outposts」も提供している。
Googleもデータストレージ用の転送サービスとして「Anthos」を提供している。ハイブリッドクラウド管理用に、Kompriseを始めとする多くのサードパーティーとも連携している。
Microsoftはハイブリッドクラウドとデータ移行のビルディングブロックとして「Azure Arc」と「Azure Stack」を提供している。オンプレミスのKubernetesクラスタとAzureのデータサービスはどちらもAzureで管理できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。
半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収してから、VMware製品の永久ライセンスを廃止した。その永久ライセンスを継続する非公認の方法とは。
クラウドファーストの流れが加速する中、無計画に構築されたハイブリッドクラウドの弊害が多くの企業を悩ませている。ITオペレーションの最適化を図るためには、次世代のハイブリッドクラウドへのモダン化を進めることが有効だ。
ワークロードを最適な環境に配置できる手法として注目され、多くの企業が採用しているハイブリッドクラウド。しかし、パフォーマンス、法令順守、コストなどが課題となり、ハイブリッドクラウド環境の最適化を難しくしている。
システム基盤をオンプレミスで運用するか、データセンターやクラウドで運用するかは、業種によって大きく異なる。調査結果を基に、活用の実態を探るとともに、最適なクラウドサービスを考察する。
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。