AWS、MS、Googleのオンプレミスハードウェア【前編】
Amazon Web Services(AWS)のオンプレミスハードウェアを再チェック
大手クラウドベンダー3社はオンプレミスハードウェアの提供やサポートを通じてハイブリッドクラウド戦略を推し進めている。まず3社のアプローチの違いとAWSの製品を紹介する。
クラウドコンピューティングはITを大きく変えた。だが、クラウドとオンプレミスは「二者択一」ではなく「相互に補完するもの」と考えられるようになっている。
インフラをオンサイトに維持するのには正当な理由がある。特にこれに当てはまるのがストレージだ。その理由には、規制上の制約、遅延の最小化、アーキテクチャの互換性、既存の投資を活用したいという願望などがある。
クラウドに投資するのにも正当な理由がある。スケーラビリティ、回復力、従量課金モデルに魅力がある。ただしGB当たりの価格は必ずしも安価になるとは限らない。
オンプレミスとクラウド双方を最大限に生かす方法として、ハイブリッドクラウドやハイブリッドクラウドストレージに目を向ける企業が増えている。
ハイブリッドクラウドストレージは、ストレージベンダーが実装する場合が多い。クラウドと自社のストレージ製品との互換性を確保し、クラウドを一つの層としてアクセス可能にする。現在はそれとは逆の方向に進み、大手クラウドの「Amazon Web Services」(AWS)、「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」(GCP)が顧客のオンプレミスにクラウド技術を広げている。
クラウドベンダーの技術を利用すると、ITチームはローカルストレージとクラウドリソースの運用に同じインタフェース、管理ツール、プロビジョニングを使用できる。これに当てはまるのはコンピューティングとストレージで、主に仮想マシン(VM)かコンテナが利用される。
クラウドベンダーの狙いは、ローカルITリソースの運用効率を高め、より容易にすることにある。
ローカルパフォーマンス
アナリスト企業のIDCによると、クラウドベンダーをこの方向に駆り立てているのは「アプリケーションを複雑にすることなく、あらゆる場所にローカルのパフォーマンスをもたらすニーズ」と「あらゆる場所にクラウドを提供すること」だという(後編のコラム参照)。
クラウドベンダーは、オンプレミスのハードウェア市場に参入することでクラウドサービス特有のパフォーマンス問題(遅延など)に対処しようとしている。ストレージの場合は、読み取りと書き込みのパフォーマンスの問題にも対処する。
クラウドベンダーのハードウェアのユースケースには、パフォーマンスが重要なアプリケーションやデータをローカルに保管する必要があるアプリケーションなどがある。ユースケースの範囲は、エンタープライズアプリケーションから機密情報が関係する分析まで多岐にわたる。こうしたアプリケーションをクラウドストレージプールに接続すれば、古いデータのアーカイブや需要の急増への対処が容易になる。
ただし、AWSとAzureはVMで、GCPはKubernetesコンテナでワークロードを運用する必要があるという制限がある。現時点ではまだベアメタルサポートはない。
大手3社のアプローチ
購買担当者がベンダーを選択するに当たって、大手クラウドベンダー3社の全く異なるアプローチを把握する必要がある。
例えば、Azureはオンプレミスサービスを提供する方法を2つ用意している。AzureとGCPは複数のハードウェアベンダーと複数のクラウドをサポートする。AWSは「AWS Outposts」を単一のベンダースタックと見なしている。Googleは2020年4月に「Anthos」でAWSをサポートすると発表したが、Azureはまだサポートしていない。「Azure Arc」も、ユーザーがサービスをAWSかGoogleのインフラにデプロイし、Azure Arcでそのサービスを管理できるようにする予定だ。
これらの機能はまだ新しい。少なくとも現時点では、ストレージ管理者は複数のクラウドを使うよりも単一のベンダーと使い慣れたツールを利用することを推奨する。
AWS
AWSはオンプレミスのオプションとして以下の3つを提供する。
- AWS Outposts
- AWS Storage Gateway
- AWS Snow
AWS Outpostsは、低遅延なサービスやローカルストレージを必要とするユーザーがAWSインフラにアクセスできるようにする。AWSによると、ハードウェアとツールは同社のクラウドサービスと同じだという。
AWS Outpostsのハードウェアは、オンプレミスとクラウド双方の管理をできる限りシームレスにするため、顧客に最も近いAWSリージョンに接続される。AWS OutpostsのハードウェアはAWSコンソールで注文できる。AWSは、2020年にVMware製品互換バージョンのAWS Outpostsを追加する予定だ。
AWS Storage Gatewayは、オンプレミスのハードウェアをクラウドに接続してハイブリッドストレージプールを形成する。AWSによると、バックアップやアーカイブなどのアプリケーションにAWSストレージへのアクセスを許可することで顧客のコスト削減を可能にするという。
AWSにはテープ、ファイル、ボリュームという3つのゲートウェイがある。これらはVM内で運用することも、AWS Storage Gatewayアプライアンス経由で運用することも可能だ。AWS Storage GatewayのベースとなるのはDell EMCの「PowerEdge R640XL」で、10コアのIntel Xeonプロセッサ2基、128GBのメモリ、5TBのSSDを搭載する。
AWS Snowファミリーを構成するのは、AWSへのデータ転送に使うアプライアンスだ。このファミリーには、80TBまたは42TBのブロックストレージを搭載する「AWS Snowball」、最大100PBまで転送可能なトラックを搭載するデータ輸送サービス「AWS Snowmobile」などが含まれる。AWS Snow機器を直接購入することはできない。費用は関連するAWSサービスのセットアップ料金に含まれる。
後編(Computer Weekly日本語版 8月19日号掲載予定)では、AzureとAnthosのハードウェア、識者による市場概観を紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly日本語版
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略 -
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「サプライチェーン最適化」実践ガイド:効果的な意思決定を実現する秘訣とは? -
製品資料
[株式会社リンプレス] 非デジタル/IT人材を「自走するDX推進者」に変えるための育成ロードマップ -
市場調査・トレンド
[ワンアイルコンサルティング株式会社] AI時代の組織設計:「判断と責任」を人に残すための2つの原則とは? -
技術文書・技術解説
[ワンアイルコンサルティング株式会社] システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
2
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
3
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
4
高額な「AI PC」を一般従業員も使えたら? 費用のハードルを一気に下げる方法
-
5
二極化する生成AI活用 「一部の社員しか使いこなせない」をどう解消すべきか
-
6
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
7
公式ストアの“防波堤”が消える「スマホ法」の衝撃 今必要な対策とは
-
8
IT調達担当者が知るべき「IT機器 大インフレ時代の前向きな選択肢」
-
9
「AIバブル」は崩壊するのか? 熱狂の後に来る“尻拭い”と4つの防衛策
-
10
高信頼セキュアネットワーク、アラクサラ統合で広がるフォーティネットの選択肢
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
4
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
5
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
6
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
7
「人員を増やす」という選択肢はない 情シスが負の連鎖から抜け出すには?
-
8
「問題が深刻化しやすいプロジェクト管理」から脱却する方法とは?
-
9
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
10
NTTドコモが実践したクラウド統合監視 業務量2倍でも残業削減を実現できた理由
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー