OSSのデータベースに限界を感じた企業が選んだデータベースとは?プロプライエタリDBに移行してコスト削減

日本のPropre Japanは、オープンソースのデータベースに見切りをつけてあるプロプライエタリのデータベースに移行した。結果、大幅なコスト削減に成功したという。

2020年08月21日 08時00分 公開
[Aaron TanComputer Weekly]

 Propre Japanは、不動産市場の動向把握に役立つ不動産データを不動産購入者に提供する企業だ。同社はAmazon Web Services(AWS)でオープンソースデータベースを運用していたが、サービスの利用増に伴うサーバコストの増大が課題になっていた。

 Propre Japanのシステムは毎日約1600万件の物件情報を収集する。各物件情報には、間取り、周辺の地理、最寄りの病院に加え、住みやすさの評価やさまざまな投資指標を含む約3万項目のプロパティが含まれている。

 同社が扱う国際的な不動産市場データは、世界各地で最高の物件を探しているユーザーや所有物件の効果的な管理を望む不動産所有者の役に立っている。

 同社でCTO(最高技術責任者)を務める根岸良多氏は英Computer Weeklyのインタビューに応じ、次のように語った。データは定期的にアーカイブする必要がある。そのプロセスには多くの人手が必要で、管理にコストがかかるという課題があった。その上サーバの費用も高騰していた。取り扱い国を2020年末までに17カ国から30カ国に拡大することを目指していることを考えると、このまま続けていくのは不可能だった。

 取り扱い国を拡大すると、Propre Japanが処理するデータ量は3倍になると予想される。そこで、毎日数億件の更新が可能で、新しいデータを使った集計と分析を即時に実行できるデータベースを見つけることが急務となった。

 同社は最終的に「Oracle Autonomous Database」(以下Oracle ADB)を導入することに決めた。データの読み込みが多くてもトランザクション処理が期待以上に速かったからだ。

 メモリとディスクを自動的に最適化する自動チューニング機能があるため、Propre Japanのチームにはさらに便利なユーザーインタフェースと追加機能の計画と開発に時間を多く費やすことができるというメリットもある。

 だが、移行プロセスには課題が山積した。根岸氏によると、オープンソースデータベースがOracle ADBとは根本的に異なっていたため、Oracleのコンサルティングチームと協力して移行計画を策定しなければならなかったという。

 「以前のデータベースのデータ形式はOracle ADBのそれとは異なっていた。そのため、データを1つずつ変換しなければならなかった。また、AWSには精通していたがOracle ADBについては一から学ばなければならなかった。これが運用上の課題になった」(根岸氏)

 Oracle ADBを使うためにアプリケーションにも変更を加えなければならなかったが、移行はOracleのサポートとトレーニングを受けて2週間で完了した。移行プロセス中もサービスの運用を続けるために、以前のシステムとデータベースのバックアップを取り、スナップショットも用意したと根岸氏は話す。

 移行は骨の折れる作業だったが、それだけの価値はあったと根岸氏は評価する。Oracle ADBの導入前、ユーザーにサービスを提供するには、収集したビッグデータからデータセットを準備する必要があった。その手間の掛かる作業が、今ではリアルタイムでできるようになったという。

 Oracle ADBの導入による定量的な成果として、根岸氏はコスト削減を挙げる。同社はサーバとデータベースにかかる月額費用を既に25%削減しており、この削減率は今後最大50%まで上がると見込んでいる。

 「コスト削減と同時にデータベースのパフォーマンスも改善した。さらに、保守費用を30%抑えながら、新しいサービスを短期間で導入できた」(根岸氏)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€驛「譎擾スク蜴・�。驛「�ァ�ス�、驛「譎冗樟�ス�ス驛「譎「�ス�シ驛「譏懶スサ�」�ス�ス

製品レビュー 発注ナビ株式会社

システム開発の4つの手法とは? システム開発の流れや専門用語を基礎から解説

システム開発を任されても、「何から始めたらよいのか分からない」という担当者は多いだろう。そこで本資料では、システム開発の流れや専門用語といった基礎知識を分かりやすく解説するとともに、システム開発の4つの手法を紹介する。

製品資料 株式会社AGEST

短納期化が進むシステム開発、なぜテストのアウトソーシングが増えているのか

システムの不具合によるさまざまなリスクを回避するには網羅的なテストを行う必要があるが、自社で行うのは難しい。そこで活用したいのが外部のテスト専門会社だ。本資料ではテスト専門会社を活用するメリットや具体的な流れを解説する。

製品資料 サイボウズ株式会社

レガシーシステムからどう脱却する? 今の時代の基幹システムの在り方

レガシーシステムからの脱却が叫ばれる中、「ERP×ノーコードツール」のアプローチで基幹システムの刷新に取り組む企業が増加している。その推進に当たっては、「Fit to Company Standard」の概念を頭に入れておくことが必要になる。

製品資料 株式会社ビルドシステム

「ローコード開発×内製化」失敗の理由とは? 3つの事例から得た2つの教訓

迅速なサービスの提供を実現する手段として、「ローコード開発×内製化」が注目されている。エンジニア不足の中でも、非IT部門が開発を担える点がその理由の1つだが、全てが順調に進むわけではない。失敗事例から得た2つの教訓を紹介する。

事例 ポールトゥウィン株式会社

信頼性と再現性のある「ソフトウェアテスト・QAサービス」導入事例

Webシステムやアプリ、IoT機器などの開発では、“テストのためのテスト”になりがちだ。QA改善に取り組んだ企業事例をもとに、属人化の解消、品質のばらつき防止、効率的なリソース運用といった具体的な課題解決の道筋を紹介する。

アイティメディアからのお知らせ

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...