日本のPropre Japanは、オープンソースのデータベースに見切りをつけてあるプロプライエタリのデータベースに移行した。結果、大幅なコスト削減に成功したという。
Propre Japanは、不動産市場の動向把握に役立つ不動産データを不動産購入者に提供する企業だ。同社はAmazon Web Services(AWS)でオープンソースデータベースを運用していたが、サービスの利用増に伴うサーバコストの増大が課題になっていた。
Propre Japanのシステムは毎日約1600万件の物件情報を収集する。各物件情報には、間取り、周辺の地理、最寄りの病院に加え、住みやすさの評価やさまざまな投資指標を含む約3万項目のプロパティが含まれている。
同社が扱う国際的な不動産市場データは、世界各地で最高の物件を探しているユーザーや所有物件の効果的な管理を望む不動産所有者の役に立っている。
同社でCTO(最高技術責任者)を務める根岸良多氏は英Computer Weeklyのインタビューに応じ、次のように語った。データは定期的にアーカイブする必要がある。そのプロセスには多くの人手が必要で、管理にコストがかかるという課題があった。その上サーバの費用も高騰していた。取り扱い国を2020年末までに17カ国から30カ国に拡大することを目指していることを考えると、このまま続けていくのは不可能だった。
取り扱い国を拡大すると、Propre Japanが処理するデータ量は3倍になると予想される。そこで、毎日数億件の更新が可能で、新しいデータを使った集計と分析を即時に実行できるデータベースを見つけることが急務となった。
同社は最終的に「Oracle Autonomous Database」(以下Oracle ADB)を導入することに決めた。データの読み込みが多くてもトランザクション処理が期待以上に速かったからだ。
メモリとディスクを自動的に最適化する自動チューニング機能があるため、Propre Japanのチームにはさらに便利なユーザーインタフェースと追加機能の計画と開発に時間を多く費やすことができるというメリットもある。
だが、移行プロセスには課題が山積した。根岸氏によると、オープンソースデータベースがOracle ADBとは根本的に異なっていたため、Oracleのコンサルティングチームと協力して移行計画を策定しなければならなかったという。
「以前のデータベースのデータ形式はOracle ADBのそれとは異なっていた。そのため、データを1つずつ変換しなければならなかった。また、AWSには精通していたがOracle ADBについては一から学ばなければならなかった。これが運用上の課題になった」(根岸氏)
Oracle ADBを使うためにアプリケーションにも変更を加えなければならなかったが、移行はOracleのサポートとトレーニングを受けて2週間で完了した。移行プロセス中もサービスの運用を続けるために、以前のシステムとデータベースのバックアップを取り、スナップショットも用意したと根岸氏は話す。
移行は骨の折れる作業だったが、それだけの価値はあったと根岸氏は評価する。Oracle ADBの導入前、ユーザーにサービスを提供するには、収集したビッグデータからデータセットを準備する必要があった。その手間の掛かる作業が、今ではリアルタイムでできるようになったという。
Oracle ADBの導入による定量的な成果として、根岸氏はコスト削減を挙げる。同社はサーバとデータベースにかかる月額費用を既に25%削減しており、この削減率は今後最大50%まで上がると見込んでいる。
「コスト削減と同時にデータベースのパフォーマンスも改善した。さらに、保守費用を30%抑えながら、新しいサービスを短期間で導入できた」(根岸氏)
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