消費者に最もお得な支払い方法を提案するサービス「AIクレジット」を手掛けるAIクレジット社。同社CTO兼COOの足澤 憲氏にサービスの仕組みと、インフラとしてどのようなAWSサービスを利用しているのかを聞いた。
2021年の父の日に、ある企業が岩手の盛岡駅と二戸駅に掲示したポスター(写真)がインターネットで話題を集めた。「お父さん、オレの奨学金を使い込んでくれて、ありがとう。」という書き出しで始まるポスターには、衝動買いをする父親のせいで幼少期に金銭面での苦労が絶えなかった息子から、父親へのメッセージがつづられていた。
差出人の名前は「AIクレジット開発者 足澤 憲」。開発者の足澤氏はこのサービスを運営するAIクレジット社の取締役兼CTO(最高技術責任者)兼COO(最高執行責任者)を務める。ポスターは「AIクレジット」(画面)の広告であると同時に、その開発の原点になった、父親への複雑な思いを表していた。
AIクレジットは、「クレジットカード」「スマートフォン決済サービス」「ポイントサービス」の組み合わせから、ユーザーにとって最も割引率が高い支払い方法を提示するスマートフォン用アプリケーションだ。開発元のAIクレジット社は、AIクレジットを中心とする幾つかの自社サービスに加え、受託開発をなりわいとしている。これらのインフラには、Amazon Web Services(AWS)を利用しているという。AIクレジットのインフラにAWSを選択した理由や、利用料金を抑えるための注意点などを、自らも40枚以上を所有するクレジットカードマニアであり、「お得」を徹底的に追求する「セコロジスト」を自称する足澤氏に聞いた。
―― AIクレジットのサービス内容と強みを教えてください。
足澤氏 社名にもなっている「AIクレジット」はスマートフォン向けのアプリケーションで、全国にあるお店と、そこで使える決済方式、展開中のキャンペーンなどから、還元ポイントが一番高くなるお得な決済方法をナビゲーションするサービスです。どの店舗で、どの決済方法が使え、どのようなキャンペーンをやっており、それぞれに幾らの還元ポイントが付くかまでの組み合わせを全て計算することが特徴です。
―― ナビゲーションの基になる情報は、どのように収集しているのですか。
足澤氏 店舗でどの決済方式が使えるのかという情報は、主に店舗チェーンが公式サイトで公開している情報をスクレイピングで取得しています。スクレイピングのツールは国内にあるチェーンごとにそれぞれ作り込みました。
一方で還元率がアップするキャンペーンの情報は、発表のタイミングや形式がまちまちなので、多くの部分は人力で集めています。従業員が人力で集めた情報をチャットツールで集約し、プログラムに入力しています。
―― どのようなビジネスモデルになっているのでしょうか。
足澤氏 アプリケーションを使ったユーザーがそこから新しいクレジットカードを契約した場合には、カード会社からわれわれに仲介料が入る仕組みを構築しています。しかしこれだけだとエンドユーザーから見たメリットが小さいため、その点の強化を進めています。
2021年7月には新規のカード契約者に対して、AIクレジットで「ポイント」を発行する制度をスタートしており、このポイントをVOYAGE MARKETINGのデジタルギフトサービス「デジコ」のギフトコードに変換できる仕組みを取り入れています。ポイント交換ができる提携先を増やす計画です。
―― 利用しているAWSサービスと、大まかなシステム構成を教えてください。
足澤氏 当社は、自社サービスのAIクレジット以外にも、受託開発事業を提供しており、両方でAWSを活用しています。
AIクレジットのインフラには、仮想マシンサービスの「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)を多い時に10台ほどの構成で利用しています。その他にはリレーショナルデータベースサービスの「Amazon Relational Database Service」(Amazon RDS)やストレージサービスの「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)をテスト用と本番用で一つずつ利用しています。
その他、
を使っています。
後編では、AIクレジットのインフラにAWSを選択した理由や、AWSの利用料金を節約するこつを足澤氏に聞く。
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