NVMe-oFはまだ始まったばかりだ。対応しているOSはあるのか、必要なハードウェアは何か、どんな用途に向いているのかなど、NVMe-oFについて知っておくべきポイントをまとめた。
NVMeはドライブからバックプレーンへのインタフェースにすぎない。ラックをまたいで、あるいはラックと外部を長距離接続するにはNVMe over Fabrics(NVMe-oF)が必要だ。
NVMe-oFは機器の間のトラフィック、ネットワークやファブリック間のトラフィックを可能にするメッセージング層を実装する。これには遅延という代償を伴うが、NVMeストレージのメリットに比べればほとんど問題にならない。
本稿では、NVMe-oFについて知っておくべき重要なポイントを4つ紹介する。
NVMe-oFの歴史は2016年ごろまでさかのぼる。さまざまなトランスポート経由で実行できるドライバを作成できるように、NVMe-oFをモジュール化することが決定された。
最初に登場したのはRoCE(RDMA over Converged Ethernet)、iWARP(Internet Wide Area RDMA Protocol)、InfiniBandなど、RDMA上に構築されるNVMe over RDMAのバリエーション群だった。ストレージやホストに存在する拡張メモリであるかのように構築するアプローチだ。NVMe over RDMA形式は短距離接続を形成するものが多い。
その後しばらくして、ストレージネットワークプロトコルを介したNVMeが実装され始める。これにはファイバーチャネルが含まれる。ファイバーチャネルは長期低迷状態にあったが、データセンターのストレージでは依然としてコア技術だ。
ファブリック経由のNVMeトラフィックではTCPが使われる。
NVMe-oFには追加のハードウェアが不要な場合と必要な場合がある。
RDMA経由のアプローチでは、RDMA対応NIC(ネットワークインタフェースカード)が必要だ。
ファイバーチャネルを使っているなら、ハードウェアの追加や交換なしで第5世代以降のNVMe-oFを利用できる。ファイバーチャネルとNVMe over Fibre Channelは同じファブリックで共存できる。
NVMe-oFアプローチの最新版がNVMe over TCPだ。標準のイーサネット装置で動作し、完全にルーティング可能で、距離の制限はない。とはいえ短距離の接続方式と比べるとNVMe over TCPの遅延ははるかに大きい。
NetAppは最近「ONTAP」にNVMe over TCPを追加した。
最も注意すべきは「Windows Server」がNVMe-oFをサポートしていないことだ。MicrosoftはRDMAベースの「SMBダイレクト」にこだわっている。ただし、サードパーティー製のイニシエーターを使えばWindows ServerでもNVMe-oFを利用できる。
「Red Hat Enterprise Linux」と「SUSE Linux」は、RoCEとファイバーチャネル、TCPのNVMe-oFをサポートする。
VMwareはRoCEとファイバーチャネルのNVMe-oFをサポートしているが、TCPはまだサポートしていない(訳注)。
訳注:原文(2021年9月29日公開)は「VMware supports RoCE and Fibre Channel NVMe-over-fabrics, but not over TCP yet」としているが、VMwareのドキュメント(2021年9月26日更新)には「ESXi では、NVMe over RDMA および NVMe over TCP ソフトウェア アダプタがサポートされています」と記載されている。NVMe over Fibre Channelをサポートしている旨の記述も別の箇所にある。
NVMe-oFの主なメリットが低遅延とストレージパフォーマンスであることは明らかだ。そのため、トランザクション形式のワークロード、分析、場合によってはハイパフォーマンスコンピューティングなど、高速入出力の要件があるユースケースに適している。
RDMAなどを利用するアプローチは、ストレージサブシステム内のトランスポート(Pure Storageの「FlashArray//X」など)やラック内のトランスポートとして幅広く使われている。
長距離の場合は、データセンター内やサイト間であってもファイバーチャネルなどが必要になる。NVMe over TCPはパフォーマンスの大きな低下が見込まれる。
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