単純に見える問題でも、パラメーターを少し変えただけで組み合わせは天文学的な数字になる。古典的なノイマン型コンピュータではこれを解決できない。これを解決するのが非ノイマン型コンピュータだ。
過去75年間、コンピュータのレイアウトを定めてきたのはノイマン型コンピュータだ。ノイマン型コンピュータはプロセッサがメモリから命令をフェッチして実行し、値をメモリに格納する。ジョン・フォン・ノイマン氏が提唱したこのストアドプログラムアーキテクチャには、効率が低下する複雑な問題領域がある。
これを克服するさまざま試みがある。その中の一つが量子コンピューティングであり、従来のノイマン型コンピュータではできない計算を実行する可能性を開く。とはいえ、現状の量子コンピュータは高度に特殊化された機器だ。絶対零度(-273.15度)近くに保つ必要のない機器が実証されたのはごく最近のことだ。
IonQのピーター・チャプマン氏(CEO兼社長)は、11量子ビットのコンピュータは手書き文字認識においてノイマン型コンピュータよりも高いパフォーマンスを発揮し、ノイズが多いデータを処理する能力の正確性が高いと言う。「機械学習は量子コンピューティングが目指す最初の応用分野になるだろう。モデルの作成がはるかに高速で、そのモデルが優れているからだ」
データセットの中のノイズを補正するようにプログラムする必要があるノイマン型コンピュータとは異なり、「少しのノイズが実際に役立つ」と同氏は言う。
ノイマン型コンピュータにはムーアの法則が当てはまり、その処理能力は18カ月から2年ごとに倍増する。だが、量子コンピューティングのスケーラビリティは飛躍的だ。「当社は量子ビットを10カ月ごとに2倍にしている」とチャプマン氏は語る。
n量子ビットのコンピュータは、演算能力が2△△nで表される。120量子ビットのシステムが処理できる状態数は宇宙の原子の数に相当するとチャプマン氏は言う。
チャプマン氏によると、特定の化学反応をモデル化するには量子コンピューティングの能力が必要になるという。現実世界でも、ノイマン型コンピュータにとっては複雑過ぎる種類の最適化がある。
多くのレポートは、物流企業UPS用にルート最適化ソフトウェアを開発したプログラマーは計算時に右折だけを使ったとしている。ルート最適化についてチャプマン氏は次のように述べている。「プログラマーが考案したトリックがあるため、現在行っている最適化は最適ルートとは懸け離れている」
各ドライバーが1日に120回配達するとしたら、ルートの組み合わせは200桁に上る。これにドライバーの数を乗算すると、問題空間はたちまち天文学的になる。「量子アプローチは、この問題の解決に別の方法を提供する」(チャプマン氏)
IonQは極低温に冷却する必要のない量子コンピュータを開発している。同社は、ラックマウント型量子コンピュータを2023年までに提供する予定だ。
後編では非ノイマン型コンピュータのもう一つのアプローチであるニューロモーフィックコンピューティングについて解説する。
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