CPUと熱と電力と【前編】
Raptor LakeからNova Lakeまで Intel CPUの最新ロードマップ
IntelがCPUに今後導入する「タイル」は電力密度をさらに高めるだろう。そこで重要になるのが製造プロセス技術だ。本稿では製造プロセス技術とともにIntel CPUのロードマップを整理する。
2021年5月にIBMが世界初の2ナノメートル(以下、nm)製造プロセス技術を発表した。爪先サイズのチップに500億個の半導体を組み込めることで、新たな世界が迫っているように思えた。だが2nmプロセスのメリットがデータセンターの電力密度、効率、持続可能性に及ぶにはまだ数年はかかるだろう。
Intelの3nmプロセスチップは2024年の「Lunar Lake」(16世代)まで登場しない。17世代チップの「Nova Lake」は2006年の「Core」以来最大のアーキテクチャ変更が行われるとされており、CPUパフォーマンスが50%向上する。サーバ用の「Diamond Rapids」は2025年ごろになるという(訳注)。
訳注:Lunar Lakeが3nmプロセスを採用するかどうかについては、2022年1月時点では「一部の報道」レベルであって確定的とは言い難い。Diamond Rapidsについては5nmプロセスという報道がある。記事の最後に6世代以降のアーキテクチャ名と製造プロセスをまとめたので参考にしていただきたい。
IntelがCPUにマルチタイルを投入
チップメーカーとして支配的立場にあるIntelは、相変わらずあまり手の内を見せない。Intelは本件についての本誌への回答を拒否した。
Uptimeのダニエル・ビゾ氏(リサーチディレクター)は、パフォーマンスの向上は革新的ではなく段階的になるだろうと示唆している。
「結局は半導体物理学の本質にすぎない。パフォーマンスの改善は半導体の物理密度の向上よりもペースが遅く、10年スパンになる」
2021年半ば、米国のニュースサイト「Reddit」に非公式に掲載されたIntelのロードマップによると、2022年の「Raptor Lake」(13世代)でCPUのパフォーマンスを10%向上させ、続く「Meteor Lake」(14世代)で「真のチップレットまたはマルチタイル」(訳注)にすることが示唆されている。
訳注:AMDはチップレットと呼び、Intelはタイルと呼んでいる。いずれも複数のコアをまとめたダイを1つのCPUパッケージにパーツとして組み込む技術。
2022年以降、Intelは「Sapphire Rapids」(10nmプロセス)の「Xeon」を投入する予定だ。複数の高性能コアを実装したタイル(ダイ)を4つ搭載するマルチタイル設計を投入するとみられる。広帯域幅の統合ダイナミックメモリが組み込まれ、データストレージがプロセッサの近くに配置される。ビゾ氏によると、低遅延を必要とする特定のワークロードの役に立つという。
Sapphire Rapidsは56コアで、112のスレッドと最大350ワットのTDP(Thermal Design Power)(訳注)を提供すると予想されている。AMDは「EPYC Genoa」で最大96のコア、192のスレッドと最大400ワットのTDPを提供し、キャッシュ、I/O、PCIeレーン数、DDR5機能を向上させると期待されている。
訳注:熱設計電力と訳される。集積回路の発熱量のことで、冷却のための指標として使われる。理論上は発熱量<消費電力だが、実質的にはTDPと消費電力はほぼ等しい。
「統合するコアが増え続けると、そのペースにメモリが追い付くのが難しくなる。これまでのようにメモリチャネルを追加することは可能だが、ある時点を超えるとコストが高くなる。非常に多数の配線を施したロジックボードが必要になる。そうしなければピン数が足りなくなるだろう」(ビゾ氏)
参考:Intelのマイクロアーキテクチャ
原文の記述はとりとめがなく分かりにくいので、マイクロアーキテクチャを再整理した。Raptor Lake以降は製造プロセスが「Intel x」という名称に変更されており、さらに分かりにくい。ここでは日本語訳作成時点(2022年1月)でのウワサレベルの情報も取り込んでいる。
| 世代 | アーキテクチャ名 | 製造プロセス |
|---|---|---|
| 6世代 | Skylake | 14nm |
| 7世代 | Kaby Lake | 14nm |
| 8世代 | Coffee Lake | 14nm |
| 9世代 | Coffee Lake Refresh | 14nm |
| 10世代 | Comet Lake | 14nm |
| 10世代 | Ice Lake | 10nm |
| 11世代 | Rocket Lake | 14nm |
| 12世代 | Alder Lake | 10nm |
| 13世代 | Raptor Lake | Intel 7(10nm) |
| 14世代 | Meteor Lake | Intel 4(7nm) |
| 15世代 | Arrow Lake | Intel 4?(7nm?) |
| 16世代 | Lunar Lake | Intel 3?(3nm?) |
| 17世代 | Nova Lake | Intel 3?(3nm?) |
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly日本語版
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[横河レンタ・リース株式会社] 不正アクセス被害が深刻化 狙われる「セキュリティの死角」はどこなのか? -
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] 2026年度末開始の「SCS評価制度」をどう攻略する? -
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] 「復旧せよ」の決断に即答できる? いま必要な戦略的データ復旧の極意 -
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] SCS評価制度は「共通のモノサシ」になる? いま製造業がすべきこととは -
事例
[Extreme Networks株式会社] BYOD時代の大学のWi-Fi、安定した通信環境をどう実現する?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Microsoft月例パッチ1400件超で過去最多 「限界点」を迎えたパッチ管理
-
2
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
3
みずほ証券が「液冷サーバ」を採用 1日3.6億件の計算を支えるための要件
-
4
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
5
「オフィス移転・刷新に伴うネットワーク環境の実態」に関するアンケート
-
6
SAP導入後も残る“Excel依存” 京急電鉄は「kintone」でどう解消した?
-
7
「業務PC/ワークステーション」に関するアンケート
-
8
「AIの粗悪レポート」で悲鳴 IntelやGoogleがバグ報奨金を止めた理由
-
9
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
10
いまIBM iエンジニアが直面する「5つの技術的課題」とその解決策
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー