IT投資が盛んな昨今、CIOとCFOの関係はビジネスの成否に影響する可能性がある。CIOがCFOと付き合う上で避けるべき「関係を悪化させる振る舞い」について解説する。
企業のIT活用が進む中で、最高情報責任者(CIO)と最高財務責任者(CFO)の関係強化はビジネスにおける重要な要素になりつつある。前編「CIOとCFOの良好な関係がIT投資の成功を左右する理由」に続き中編となる本稿は、CIOとCFOの関係強化に潜む課題を解説する。
コンサルティングと会計業務を手掛けるGrant Thornton Internationalでナショナルマネージングプリンシパルおよびプロダクトイノベーションリーダーを務めるクリス・ステファンソン氏によると、CIOもCFOも「技術革新やモダナイゼーションをすれば、IT投資のコストは安くなる」と理解している。しかしCIOとCFOの中には、そこで話が終わり、連携を途絶えさせてしまう人もいる。しかるべき投資先や投資にかかるコストついての見解が両者で一致しなければ、話し合いをしても合意を得ることができず、むしろ話が行き詰まってしまう可能性がある。
「この問題の解決に役立つ、幾つかのトレンドがある」とステファンソン氏は話す。例えば短いサイクルで一連の開発工程を繰り返す「反復型開発」は、コストを下げ迅速に成果をもたらす可能性がある。こうした手法はプロジェクトが内包するリスクを減らし、CIOとCFOの相互支援を助ける。
ステファンソン氏は「近年のCIOとCFOは、互いの専門分野について以前よりも知識を持つようになっている」と考えている。他の経営幹部と同様に、CFOも今ではITに精通していることが一般的であり、CIOもビジネスと財務の両方に精通している。
だが一部の企業では依然として、CIOとCFOの間に緊張感が存在する。企業向けソフトウェアのサードパーティーサポートを提供するRimini Streetが2021年4月に発表した調査レポート「Global CFO Survey」(注1)によると、CFOの23%が「2020年にCIOとの関係が悪化した」と報告している。関係悪化の主な理由は「重要分野の専門性の欠如」(33%)、「柔軟性の欠如」(32%)、「計画に投資利益率(ROI)の具体的説明がない」(31%)だった。
※注1:年間収益が2億ドル以上の企業のCFOまたは財務の専門家を対象に実施。調査対象者は世界13カ国の1500人以上。
CFOによっては、CIOのIT投資計画を支持しない人もいる。「われわれはCFOが予算に圧力を加えたり、制約を加えたりするのを見てきた」と、経営およびITコンサルティング会社West Monroe Partnersの諮問・変革部門マネージングパートナー、マルク・タノビッツ氏は話す。ただしタノビッツ氏は「こうしたケースが当たり前というわけではない」と言い添える。
後編は、CIOとCFOの関係を強化する方法を解説する。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
リスク管理やコンプライアンス対応の取り組みを進めることは、多くの企業にとって重要だ。しかし、どのような手順で取り組みを進めればよいのか分からないという声も多い。そこで本資料では、5つのステップに分けて、詳しく解説する。
昨今、リスクおよびコンプライアンス管理業務の重要性が高まっているが、現状では多くの組織で成果を挙げられていない。Uberでは、ある統合リスク管理ソリューションを導入し、課題解決を図った。同社をはじめ10組織の事例を紹介する。
営業秘密が不正に持ち出されたり開示されたりしたら、深刻な被害を及ぼす可能性がある。本資料では、営業秘密の漏えいに関する現状から、発生した際の対処方法まで詳しく解説する。
コンサルティングとITソリューションを組み合わせ、企業の経営改革や事業改革を支援する野村総合研究所では、自社の改革にも取り組んでいる。本資料では、「調達業務改革」を推進している同社の取り組みを紹介する。
研究機関のデジタル化は、業務効率向上だけでなく、研究の加速にも直結する。沖縄科学技術大学院大学では、統合プラットフォームを活用し、IT管理や学生情報管理を最適化することで、業務改革を実現した。
2025年の「IT導入補助金」で中堅・中小が導入すべき2つのツール (2025/3/31)
申請業務のシステム化が難しい理由とその解決策とは (2024/9/27)
運用・管理はお任せ 生成AIを安全に活用できるRPAプラットフォーム (2024/5/16)
オンライン研修で情報処理安全確保支援士の取得と維持を支援 (2024/2/1)
セキュリティ対策にDX 情シスが「やりたくてもできない」状況から脱するには? (2024/1/29)
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...