CEOの戦略的パートナーの地位を得るためにCIOができることは幾つかある。新たな脅威を見極め対処したり、未来のビジネスへの道筋を作ったりすることが、その一例だ。具体的にどのように取り組めばよいかを紹介する。
前編「CIOがコロナ禍で『頼れる戦略的技術アドバイザー』の地位を築くヒント」、中編「“生き残りに必死なCIO”が“成長を導くCIO”に生まれ変わるには」に続き、最高情報責任者(CIO)が、最高経営責任者(CEO)の戦略的ビジネスパートナーになるための重要な心構えと取り組みを紹介する。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)は、あらゆる種類の企業に変化と新しいリスクをもたらした。サイバー攻撃をはじめとする脅威を避けながら、企業を安全に運営できるかどうかはCIO次第だ。それはパンデミックの前も後も変わらない。とはいえCIOは変化と新しいリスクの両方に先手を打つ必要がある。
例えば従業員がテレワークに移行し始めた頃、セキュリティ対策が課題として挙がった。今後従業員がオフィスに戻ったり、オフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドな働き方になったりすると、別の課題が生まれる可能性がある。自身を戦略的ビジネスパートナーとしてCEOに印象付けたいCIOは、新たなリスクにも目を向ける必要があることをよく理解している。
セキュリティソフトウェアベンダーNetskopeで最高デジタル情報責任者を務めるマイク・アンダーソン氏は「現在のCIOにとっての課題は、同じリスクを繰り返さずにイノベーションを続けることだ」と話す。アンダーソン氏は、米国で問題視されている「大量離職」(the Great Resignation)に起因する新たな内部脅威にも「先回りして対処する必要がある」と考えている。
CIOがリーダーであり続けるには、“優秀な問題解決者”という存在にとどまってはならない。
「CIOの役目は、CEOが企業の将来のビジョンを再構築する手助けをするだけではない」とコンサルティング会社PricewaterhouseCoopers(PwC)でクラウドおよびデジタルマネージングパートナーを務めるダン・プリースト氏は話す。CEOが未来のビジネスを実現するための確実な方法として、CIOは技術に合わせて調整したビジネスの提供方法や、価値の実現に向けた戦略策定の支援をするのが理想の姿だ。
CIOがCEOの戦略的パートナーになるなら、先を見越し、勇気を持って動くことで自分を印象付けなければならない。CIOは、次の指示を座して待つべきではない。
コンサルティング会社Aviv Ben-Yosef Consultingでテックエグゼクティブコンサルタントおよびコーチを務めるアビブ・ベンヨセフ氏は、「CIOは意思決定プロセスの上流に立たなければならない」と話す。CIOはロードマップを手渡されるまで待つのではなく、適切な会議に早めに関与すべきだとベンヨセフ氏は説明する。
戦略的パートナーになることは、ビジネスの主導権を握ることを意味する。戦略策定会議に参加したら、「遠慮なく意見を述べる必要がある」とベンヨセフ氏はアドバイスを送る。ITは単なる道具ではない。ビジネスを成功に導くものだ。
「自社に何ができるのか」「ロードマップに盛り込むと、自社の能力を最大限に発揮できるものは何か」を経営幹部が理解できるよう手助けすることが、CIOの重要な役割だとベンヨセフ氏は話す。
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