コロナ後に生き残る企業は「成果主義」? CIOが重視したい新たな評価指標は「コロナ後も生き延びる企業」の評価指標【前編】

新型コロナウイルス感染症が社会にもたらした影響によって、働き方に大きな変化が生じた。その結果、昔ながらのマネジメントを続けることがリスクになる可能性がある。新たな時代に即した評価指標を決めるこつは。

2022年01月18日 05時00分 公開
[Tina NunnoTechTarget]

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)により、われわれは社会的、経済的、政治的な危機に直面している。こうした危機は、最高情報責任者(CIO)がこれまで使ってきた伝統的なリーダーシップの手法や評価指標の限界を明らかにした。

 採用市場の動向は厳しさを増している。例えば、テレワークやハイブリッドワーク(テレワークとオフィスワークを組み合わせた働き方)を辞めて従業員をオフィス勤務に戻している企業は、従業員の離職防止や新規採用に苦戦する可能性がある。従来型の労使関係に戻そうとするもののうまくいかない企業もあるだろう。事業部門や技術部門のリーダーは、変化に合わせて新たなリーダーシップ戦略を立てる必要がある。

 従来型の労使関係に長らく慣れきっているCIOは、この期に考え方を変えることが望ましい。厳しい採用状況を改善し、ハイブリッドな働き方が当たり前になる未来に備えるためだ。成果を基にした評価指標の重要さは増し、一方で従業員のウェルネス(健康増進)に関わる評価指標が新たな意味を帯びるようになっている。

 本稿はCIOが新しい働き方に合わせて評価指標を調整するための4つの方法を紹介する。

方法1.評価指標の設定は「成果」に重点を置く

 調査会社Gartnerは、パンデミックの最中に複数の顧客企業からテレワーカーを評価する方法について質問を受けたという。中には従業員監視ソフトウェアを評価に使い始めた企業もあった。だがリモート監視は、従業員のアクティビティーを追跡するだけで、仕事の成果までは追跡しない。最悪の場合「リモート監視は煩わしい」と従業員に感じさせるだけでなく、オンラインで実施した作業そのものや、オンラインの活動時間の長さが「有意義な成果」だと勘違いするような、昔ながらのリーダーシップを助長させる可能性もある。

 CIOがすべきなのは、アクティビティーをただ追跡することではない。自社の業績目標に直接結び付く、従業員のための新しい評価指標を作ることだ。全ての評価指標は、経営幹部が使う評価指標を基に細分化して決める必要がある。例えば、取締役会がCIOに対して『特定の収益成長目標を達成し、顧客満足度を所定の割合まで高める』という目標を設定したとする。その場合CIOは、自身に課せられた目標を、自身が管理する部門の目標に反映する必要がある。

方法2.思い込みをなくす

 パンデミックが起きた時、経営幹部は、古いパラダイムがいかに改革を妨げているかを目の当たりにした。例えばある大手ファストフードチェーンは、パンデミックが起きる前は「顧客にとって重要なのは店舗面積の大きさだ」と考え、店舗におけるカスタマーエクスペリエンス(CX)向上に力を入れた。だがデータを検証したところ、パンデミック前でも注文の大半はテークアウトだったと分かった。そのため同社は数百店舗を閉鎖し、代わりに顧客のテークアウト利用を目的に設計した小面積の店舗を設置した。データを使って長年の思い込みに疑問を投げかけることで、この大手ファストフードチェーンはコストを削減でき、変化する顧客ニーズを満たせる優れたCXを提供できるようになった。

 CIOは他の経営幹部と協力して、新たな視点で企業が持つ既存のデータを調べることが望ましい。自社の事業に思い込みによる盲点がないかどうかを検討するとよい。

 創造的破壊が進む時代において、そして仮想世界においては、データが従来の経営経験よりも重要になる。データ分析によって経営幹部は、ビジネスプロセスと個人業績の両方の成功を追跡できるようになる。この2つの組み合わせは、理想的な成果を生む。CIOはリーダーシップを発揮するために、経験のみに基づいて成り立つ従来の階層型組織構造に頼るのではなく、業績管理ツールを用いてデータを分析する必要がある。


 後編は、残る2つの方法「従業員ウェルネスの促進」と「『レジリエンス』を考慮した評価指標設計」について紹介する。

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