専門家は2023年には部品不足が解消され、「Wi-Fi 6E」の導入が進む可能性があるとみる。ただし「Wi-Fi 7」が登場しようとする中では、Wi-Fi 6E導入が妥当かどうかの判断は簡単ではない。企業はどうすればいいのか。
「Wi-Fi 6E」に準拠したネットワーク機器の導入が進まない――。半導体を中心とした部品の供給不足によってユーザー企業は、標準規格「IEEE 802.11ax」に基づく無線LAN規格Wi-Fi 6Eの準拠機器が手に入らず、導入を断念する動きが広がっていると調査会社Dell'Oro Groupはみる。Wi-Fi 6E準拠機器導入の障壁を考えた前編「『Wi-Fi 6E』なんていらない――『Wi-Fi 7』の前に薄れる存在感」に続き、後編となる本稿はネットワークベンダーや部品メーカーの動きを紹介する。
すでにネットワークベンダーが販売を開始したWi-Fi 6E準拠機器はある。Hewlett Packard Enterprise(HPE)傘下のAruba Networksは2021年夏にWi-Fi 6E準拠製品群の販売を開始。Cisco Systemsは同時期、Wi-Fi 6Eに準拠した無線LANアクセスポイント2機種を発売した。Googleのスマートフォン「Pixel 6」など、Wi-Fi 6E準拠の一般消費者向けデバイスもある。
Dell'Oroのタム・デローロCEO(最高経営責任者)によれば、Wi-Fi 6Eに関心を寄せているのは一般企業よりも大学だ。大学は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)後のキャンパス全面再開に向け、学生や職員に提供するネットワークを高速化させる必要があり、国の助成金も利用できるとデローロ氏は説明する。
デローロ氏は、経済協力開発機構(OECD)の見通しに基づき、2023年にはWi-Fi 6E準拠機器の供給が安定するとみる。OECDによれば、2023年にはユーザー企業はWi-Fi 6E準拠機器の活用に必要なスキルを持った技術者を確保できるようになる。同時に、現在の部品の供給不足も解消されるとOECDは推定している。
次の世代の無線LAN規格である「Wi-Fi 7」(IEEE 802.11be)を巡っての動きも始まっている。台湾の半導体メーカー、MediaTekはWi-Fi 7準拠製品の開発に取り組んでおり、他の部品メーカーもそれに続く見込みだ。デローロ氏によると、2023年には部品の供給不足が解消されてWi-Fi 7準拠機器が入手しやすくなり、「ユーザー企業はWi-Fi 6Eの導入をスキップする可能性が高い」と述べる。
ユーザー企業が「今やるべきこと」は何なのか。デローロ氏は、自社のビジネス内容を考え、Wi-Fi 6E準拠機器の導入に価値があるかどうかを評価することを勧める。同氏によれば、広帯域幅や低干渉を必要とする企業ならば、Wi-Fi 6E準拠機器を導入する価値は十分にある。ただし供給難の影響を受けずに大規模なアップグレードを図る場合は、Wi-Fi 7の登場を待った方がよいと同氏は言う。
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