「Wi-Fi 6E」を大歓迎する人、「Wi-Fi 7」まで待つ人 それぞれの考え方無線LAN市場でささやかれる“Wi-Fi 6E飛ばし”濃厚論【後編】

専門家は2023年には部品不足が解消され、「Wi-Fi 6E」の導入が進む可能性があるとみる。ただし「Wi-Fi 7」が登場しようとする中では、Wi-Fi 6E導入が妥当かどうかの判断は簡単ではない。企業はどうすればいいのか。

2022年03月28日 05時00分 公開
[Madelaine MillarTechTarget]

 「Wi-Fi 6E」に準拠したネットワーク機器の導入が進まない――。半導体を中心とした部品の供給不足によってユーザー企業は、標準規格「IEEE 802.11ax」に基づく無線LAN規格Wi-Fi 6Eの準拠機器が手に入らず、導入を断念する動きが広がっていると調査会社Dell'Oro Groupはみる。Wi-Fi 6E準拠機器導入の障壁を考えた前編「『Wi-Fi 6E』なんていらない――『Wi-Fi 7』の前に薄れる存在感」に続き、後編となる本稿はネットワークベンダーや部品メーカーの動きを紹介する。

「Wi-Fi 6E」を歓迎する“あの業界”

 すでにネットワークベンダーが販売を開始したWi-Fi 6E準拠機器はある。Hewlett Packard Enterprise(HPE)傘下のAruba Networksは2021年夏にWi-Fi 6E準拠製品群の販売を開始。Cisco Systemsは同時期、Wi-Fi 6Eに準拠した無線LANアクセスポイント2機種を発売した。Googleのスマートフォン「Pixel 6」など、Wi-Fi 6E準拠の一般消費者向けデバイスもある。

 Dell'Oroのタム・デローロCEO(最高経営責任者)によれば、Wi-Fi 6Eに関心を寄せているのは一般企業よりも大学だ。大学は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)後のキャンパス全面再開に向け、学生や職員に提供するネットワークを高速化させる必要があり、国の助成金も利用できるとデローロ氏は説明する。

 デローロ氏は、経済協力開発機構(OECD)の見通しに基づき、2023年にはWi-Fi 6E準拠機器の供給が安定するとみる。OECDによれば、2023年にはユーザー企業はWi-Fi 6E準拠機器の活用に必要なスキルを持った技術者を確保できるようになる。同時に、現在の部品の供給不足も解消されるとOECDは推定している。

 次の世代の無線LAN規格である「Wi-Fi 7」(IEEE 802.11be)を巡っての動きも始まっている。台湾の半導体メーカー、MediaTekはWi-Fi 7準拠製品の開発に取り組んでおり、他の部品メーカーもそれに続く見込みだ。デローロ氏によると、2023年には部品の供給不足が解消されてWi-Fi 7準拠機器が入手しやすくなり、「ユーザー企業はWi-Fi 6Eの導入をスキップする可能性が高い」と述べる。

 ユーザー企業が「今やるべきこと」は何なのか。デローロ氏は、自社のビジネス内容を考え、Wi-Fi 6E準拠機器の導入に価値があるかどうかを評価することを勧める。同氏によれば、広帯域幅や低干渉を必要とする企業ならば、Wi-Fi 6E準拠機器を導入する価値は十分にある。ただし供給難の影響を受けずに大規模なアップグレードを図る場合は、Wi-Fi 7の登場を待った方がよいと同氏は言う。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品レビュー 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社

会社のWi-Fiあるある問題、「なんとなく」を卒業しWi-Fiを快適・安全にするには

企業のWi-Fiにおいて、適切な環境設定がされていなかったり、トラブル対応が属人化していたりと管理体制が不十分なケースは多い。Wi-Fiの設定が安全性にどう影響するのだろうか。“Wi-Fiあるある”として6つのケースを紹介する。

技術文書・技術解説 アマゾン ウェブ サービス ジャパン 合同会社

プライベートサブネット内リソースを生成AIサービスと連携させる方法

クラウドベースのAIエージェント開発において、プライベート空間内のリソースとAIサービスとの連携方法が分からないという声がしばしば聞かれる。この疑問に応えるべく、両者のAPI連携の方法を、ステップバイステップで解説する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

エンジニアが学ぶべき「ネットワークの基礎」はこれだ

ネットワークはあらゆるITシステムの基盤であり、IT担当者は専門分野を問わず、ネットワークの基本的な知識を習得する必要がある。IT担当者が学ぶべきネットワークの基礎知識と、基礎を学べる認定資格とは。

技術文書・技術解説 アイティメディア広告企画(2025年02-03月ネットワークセキュリティ特集)

「SD-WAN選び」で失敗しない 押さえておくべきポイント5選

SD-WAN(ソフトウェア定義型WAN)を導入する際はどのような観点で製品を選べばいいのか。メリットやデメリットなど押さえておくべき5つのポイントを紹介する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア広告企画(2025年02-03月ネットワークセキュリティ特集)

ADCの役割に変化 新たな役割や機能をおさらい

ロードバランサーから進化した「ADC」(アプリケーションデリバリーコントローラー)は、負荷分散にとどまらない、さまざまな機能を追加し続けている。充実するADCの機能をおさらいしよう。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...