ITコンサルティング会社のAccentureは、機械学習でIT運用を自動化する「AIOps」によって社内の業務負担を軽減している。同社が実践するAIOpsの取り組みと、その成果とは。
機械学習アルゴリズムを使用してIT運用の定型業務を自動化する「AIOps」(AI for IT Operations)の導入が広がっている。ITコンサルティング会社のAccenture(アクセンチュア)は、社内業務にAIOpsが定着し始めた企業の一社だ。同社はServiceNowのITサービス管理(ITSM)とIT運用管理(ITOM)のソフトウェアを導入した。これによってAccentureが実践する自動化の一つは、アラートの選別だ。ServiceNowのソフトウェアは、機械学習アルゴリズムによって監視アラートを相互に関係付け、運用スタッフに通知する必要のあるアラートだけに絞り込む。
アラートの関連付けは、AIOpsの主な用途の一つだ。インシデント対応、システムの定期メンテナンスなどにもAIOpsは使われる。Accentureは、ServiceNowのソフトウェアによってシステムの定期的な修復作業も自動化している。その結果、同社の運用チームは重要度の低いインシデント対応に費やしていた時間を短縮できた。
修復作業が必要になるのは、例えばログ収集ツールのストレージ占有率が高まるときだ。その場合はストレージのクリーンアップが必要になる。Accentureはこの問題を解決するためのスクリプトを作成し、作業を自動化している。「サーバなどインフラに関する問題を解消するための自動化システムを構築したことで、対処しなければならないアラートを抑制できている」と、同社でIT運用管理部門の責任者を務めるブライアン・ロック氏は説明する。
Accentureではこうした一部の運用業務の自動化だけではなく、AIOpsの適用範囲を広げるための取り組みも進行中だ。その土台としてさまざまなデータを活用可能な状態にしなければならない。同社は以前から利用している複数の運用ツールのデータ移行を進めると同時に、ServiceNowの機能を使い、データの整合性を保つための標準データモデル「共通サービスデータモデル」(CSDM)を構築した。
CSDMは、ServiceNowのアプリケーション提供基盤「Now Platform」の核となる構成管理データベース(CMDB)と連携することで、システム内のデータの整合性を保つ。ServiceNowの各種製品で扱うデータは、CSDMがあることで標準化が可能になっている。ServiceNowが提供するこうした機能を活用することで、Accentureは機械学習アルゴリズムに信頼できるデータを提供できるようになってきたという。
「ServiceNowは、ポリシーの順守やデータセットの完全性に関する機能を少しずつ追加している。ユーザー側で事前設定することなく使える一連のルールがあり、当社もそれを活用しながら取り組みを進展させている」とロック氏は語る。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
データ活用が企業の命運を握る今日にあって、絶対に避けなければならないのがデータの損失だ。本資料では、ビジネスクリティカルな状況下でデータの保全・保護・復旧を可能にするバックアップソリューションを紹介する。
データのバックアップに求める機能は、企業によってさまざまだ。必要な機能だけを選択して導入することで、無駄なく効率的なデータ保護が可能になる。そこで注目されているのが欲しい機能だけを搭載できるバックアップ/リカバリー製品だ。
データバックアップは、安定した経営を維持し、災害やサイバー攻撃のリスクから業務を守るために不可欠である。とはいえ、自社に最適なバックアップ手法の確立は簡単なことではない。豊富な機能を備えているソリューションに注目したい。
企業の事業継続に影響を与える緊急事態として自然災害やサイバー攻撃が挙げられる。その対策として重要なのが、データのバックアップだ。それでは、バックアップ製品はどのように選べばよいのか。重要なポイントを解説する。
次なるビジネスの中核を担う可能性を秘めているAPI。APIを本格利用する組織にとっては、効率的な開発・公開・運用・管理方法を確立することが重要課題となっている。本資料では、効率化に向けて知っておくべきポイントを解説する。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...