IT運用チームもAmazonを見習うべき理由 「AIOps」の効能とは?「AIOps」を正しく理解する【中編】

「AIOps」の必要性が高まる理由の一つは、顧客ニーズの変化だ。AIOpsを導入することで顧客ニーズにどう対処し、どのような効能を引き出せるのかを考えてみよう。

2021年06月01日 05時00分 公開
[Srinivasa WudaruTechTarget]

関連キーワード

機械学習 | 運用管理 | 統合運用管理


 システム運用にAI(人工知能)技術を取り入れる「AIOps」によって、顧客に提供する価値はどう変わるのだろうか。前編「『AIOps』の本当の意味 “人間の代替”はよくある誤解」に続き、AIOpsがシステムの運用チームにもたらすメリットを紹介する。

 AIOpsを取り入れれば、運用チームは手作業では実現が難しいさまざまメリットを引き出すことができる。例えば多種多様なシステムのデータを相関付けて、問題を引き起こす可能性がある要因を見つけ、運用チームに事前に通知するようにすることで、システムの処理性能の低下や障害を未然に防ぐことが可能になる。手作業の介在なしにシステムを自律的に動かす自己修復を実現できる可能性もある。セキュリティにおいては脅威を絶えずスキャンし、対策が必要な脆弱(ぜいじゃく)性を見つけ出すことも可能だ。

 手作業が必要な従来の運用ツールでは、需要に応じてリアルタイムにリソースの配分を変更することや、データを基に次に起こり得る問題を特定することはほとんど不可能だ。

AmazonがIT運用のお手本? 顧客の“一歩先”を行く運用

 AIOpsがもたらすメリットの一つに、顧客の利用パターンの可視化がある。Amazon.comの通販サイトを例に考えてみよう。同社がデータを使ってユーザーの好みの商品を表示していることは周知の通りだ。一方ではユーザーの利用パターンを可視化することで、特定の商品への関心度が急上昇していることを把握し、必要に応じて在庫を補充できるようにしている。結果として商品が顧客の手元に届くまでの時間が短縮する。

 同じように、運用チームも顧客のニーズを満たす新製品や新サービスの提供に貢献するために、先を見越して取り組む必要がある。その必要性が高まっているのは、下記のような背景があるからだ。

  • 顧客からの要求の高まり
    • 顧客はさまざまなアプリケーションやWebサイトを使うことで、企業が提供する製品やサービスの使い勝手や信頼性に高い期待をかけるようになっている。その期待を満たすことができなければ、自社の製品やサービスのブランドが損なわれ、売り上げは減少する
  • 多様化するデバイス
    • デバイスの新モデルやOSの新バージョンが頻繁に公開されている。自社の製品やサービスでも顧客が利用するデバイスやOSを利用できるようにしておかなければ、顧客を失う恐れがある

 先を見越した取り組みは、システム運用の安定性を高める上でも重要になる。想定外のシステムトラブルがビジネスに悪影響を及ぼすリスクがあるからだ。運用チームが想定外の変化に迅速に対処するには、システムやインフラの可視性を高めること、運用の複雑性を解消してアジリティ(俊敏性)を高めることなどが求められる。こうした観点でも、機械学習を基に顧客の利用パターンを分析したり、トラブルシューティングなどのタスクを自動化したりできるAIOpsが役立つ。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news061.png

高齢男性はレジ待ちが苦手、女性は待たないためにアプリを活用――アイリッジ調査
実店舗を持つ企業が「アプリでどのようなユーザー体験を提供すべきか」を考えるヒントが...

news193.jpg

IASがブランドセーフティーの計測を拡張 誤報に関するレポートを追加
IASは、ブランドセーフティーと適合性の計測ソリューションを拡張し、誤報とともに広告が...

news047.png

【Googleが公式見解を発表】中古ドメインを絶対に使ってはいけない理由とは?
Googleが中古ドメインの不正利用を禁止を公式に発表しました。その理由や今後の対応につ...