「AIOps」ツールがあれば、ITインフラの管理を効率化できる可能性がある。だが人手を介さない自動化機能でどこまで対処できるかは、依然として議論の余地がある。
企業のIT部門が「AIOps」ツールを試すようになるにつれ、人工知能(AI)技術がITインフラ管理の未来をどうけん引するかについて意見の対立が見られる。AIOpsは、データ集約型で反復的な開発・運用タスクを自動化するために、AI技術を用いることだ。
AIOpsツールを早期導入した企業の中には、従来のIT運用タスクの大半を自動化している企業もある。一方AIOpsという用語自体に懐疑的で、過剰に生み出されるアラートを減らすこと以外に、高度なIT分析にはメリットをほとんど感じないという企業もある。いずれにせよ、AIOpsツールが完全に成熟するまでの道のりは遠い。
フリーランスのアナリストとして活躍するクライブ・ロングボトム氏は「今のところ、AIOpsツールを使用している多くの企業は大きな不満を持っていない」と語る。ロングボトム氏によると多くの企業は、機械学習とルールベースのエンジンを併用している。機械学習の使用はほどほどだが、ルールベースのエンジンの利用は多いという。「この2つを併用することが問題の引き金になる」と同氏は警告する。というのも、ルールベースのエンジンは、ルールが間違っていても、指示されたことを何度でも繰り返し実行するからだ。
技術コンサルティング会社のCarousel Industries of North America(以下、Carousel)は、OpsRampの同名AIOpsツールを使用して96%の「ノイズ」削減に成功した。Carouselがマネージドサービスのクライアントのために運用する数百万台のデバイスから生じる、何十万件にも上るIT監視のアラートに起因するノイズだ。CarouselはOpsRampのサービスチケットの自動生成と自動解決の機能に信頼を寄せ始めている。
Carouselで最高マネージドサービス責任者を務めるティム・ヘバート氏は「OpsRampには堅牢(けんろう)なイベント相関エンジンが搭載されている」と評価する。同社はOpsRampを活用することで、これまでタスクの遂行に費やしていた人的労力を「劇的に削減した」とヘバート氏は説明する。その結果、同社は人的リソースを追加することなくビジネスを拡大できているという。
人が手動で監視するシステムからAIOpsツールに切り替えたことで、Carouselが収集するデータと分析の一貫性や信頼性が高まった。「SLA(サービス品質保証契約)違反が起こるのは人が関係している場合で、機械に起因するものではないことが多い」(ヘバート氏)
Carouselが繰り返し処理している手動タスクの50%強は、AIOpsツールで自動化できるとヘバート氏は考えている。ただし条件がある。それは同社が、OpsRampの新しい「サービスとトポロジーマップ」のテストを完了させることだ。サービスとトポロジーマップは、ITサービスのマップをネットワークトポロジーマップのデータと関連付け、ビジネスと運用の優先順位に基づいてITのイベントを管理する。
現在、OpsRampからエクスポートしたデータをサードパーティーのビジネスインテリジェンス(BI)ツールで使用することはできる。「将来のリリースでは、ビジネス関係者向けのレポート機能が改善されることを期待する」とヘバート氏は話す。ほとんどの最高情報責任者(CIO)は、ダウンしたサーバやシステムに関するレポートの良否を判断できていない。「IT分野に与える影響を伝えるだけでは不十分だ。ITの問題がビジネスに与える影響についても指針を提示する必要がある」(ヘバート氏)
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