国内のデータセンターは東京や大阪の都市圏に集中する傾向にある。データセンターにおける再生可能エネルギー利用の動きがこれから広がる場合、立地にどう影響する可能性があるのか。
再生可能エネルギーを利用するデータセンターの動向について、中編「再生可能エネルギー利用に動くデータセンター ユーザー企業にも選択肢」で紹介した。再生可能エネルギー利用の動きが強まることで、今後新設されるデータセンターにはどのような影響があるのか。影響する可能性のある要素の一つが立地だ。
近年新設されている大規模なデータセンターは東京を中心とした首都圏や、大阪を中心とした関西圏に集中している。こうした都市圏にデータセンターが集中するのは、幾つかの理由が関係している。
都市圏にデータセンターが集中する背景にあるのは、まずはインターネット接続の中心的なネットワークであるIX(インターネットエクスチェンジ)が集まっていることから、ネットワーク同士を効率的に接続しやすくなる点だ。東京や大阪の都市圏は企業や人口が集中する地域でもあるため、ユーザー企業にとってはトラブル発生時に往訪しやすい利点もある。
データセンターの設計や構築、保守などを手掛けるNTTファシリティーズによれば、一般的には十分な電力を確保できることや、災害リスクを考慮することもデータセンターの立地選定時の基本になる。仮に今後、再生可能エネルギー利用の重要性が一段と高まる場合は、「再生可能エネルギーの調達しやすさも立地にかかわってくる」と同社は指摘する。
例えば太陽光発電であれば、日照条件のよい地域が候補になる。ただし大量の電力を消費するデータセンターに必要な電力を、太陽光発電所から調達することは実は簡単ではない。「仮に30メガワットのデータセンターの電力を全て太陽光で賄うとすれば、300メガワット規模の太陽光発電所が必要になる」とNTTファシリティーズは試算する。データセンターの消費電力は年間を通じてほぼ一定である一方、太陽光発電所の一般的な設備利用率は10%前後であることから、データセンターの消費電力に対して約10倍の発電ができる太陽光発電所が必要になるためだ。300メガワット規模の太陽光発電所は、面積にすると「18ホールのゴルフ場で10カ所分に相当する規模」(同社)だという。国内ではそれほどの広大な土地を確保できる地域はほとんどないため、1カ所の発電所からではなく、複数の発電所から調達することを考慮しなければならない。
CO2排出を抑制できるエネルギー源としては、太陽光だけではなく風力や水力もある。「現段階では国内での具体的な計画は浮上していないものの、将来的には水素も候補になる可能性がある」とNTTファシリティーズは指摘する。水素をデータセンターのエネルギー源とする場合は、水素を製造または副生する化学プラントの集まる地帯や、海外から水素をタンカーで搬入する港湾に近接する地域も、発電所やデータセンターの候補地になる可能性がある。水素の活用については既に一部で取り組みが進んでいる。例えばMicrosoftは、クラウドサービス「Microsoft Azure」のデータセンターで、バックアップ用の自家発電に水素を使った燃料電池を使用する試みを開始したことを2020年に公表した。
データセンターの利用する再生可能エネルギーが増えるほど、安定的に十分な電力を供給する仕組みも重要になる。今後のデータセンターの立地選定においては「エネルギーの地産地消という観点で、再生可能エネルギーを調達しやすい地域に、複数のデータセンターを集める構想が今後は視野に入ってくる」(NTTファシリティーズ)。
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