大規模データセンターを運営する事業者は、再生可能エネルギーの活用などグリーン化の取り組みを進めている。こうした動きは今後ますます強まる可能性がある。今後のデータセンターはどう変わるのか。
デジタルサービスやデータの多様化に応じて、データセンターの必要性が高まるのは世界的なトレンドだ。前編「データセンター新設が相次ぐ国内 2000年代初頭ラッシュとの違いは?」の通り、大規模なデータセンターの新設が続く国内も例外ではない。二酸化炭素(CO2)排出量の削減を求める動きが世界的に強まる中で、企業は業務に必要不可欠なデータセンター利用を継続するとともに、それに伴うCO2排出量の削減にも同時に向き合わなければならない時代になりつつある。
システムインテグレーター(SIer)や通信事業者、データセンター専業事業者などデータセンターを運営する事業者は、電力の使用効率を高めるための設備設計や再生可能エネルギーの利用など、データセンターのCO2排出を抑制する手法を積極的に取り入れ始めている。特に2021年から2022年にかけて、事業者が再生可能エネルギー利用の方針を発表する動きが顕著だ。
MicrosoftやGoogleといったメガクラウドベンダーと呼ばれる事業者に限らず、近年はデータセンターを運営する国内の事業者も再生可能エネルギー利用の方針を積極的に打ち出している。顕著な動きは下記の通りだ。
注目すべき点は、NTTコミュニケーションズの例のように、ユーザー企業が再生可能エネルギーを選択できるメニューを用意する動きが出てきたことだ。ある意味では再生可能エネルギーを選択する判断をユーザー企業に委ねる形となっており、ユーザー企業としてもデータセンター利用のグリーン化に無関心ではいられない時代になりつつあることを象徴する動向だと言える。
データセンターを設置・運営する事業者が再生可能エネルギー利用を重視する傾向は、今後新設されるデータセンターの立地に影響する可能性がある。再生可能エネルギーの発電に適した地域と、データセンターの所在地に適する地域は必ずしも一致しないからだ。データセンターは遠隔地の発電所からでも送電網を介して受電することは可能だが、既存の送電網の容量には限度があり、新たに送電網を敷設する場合はコストが発生する。そのため本来データセンターの立地として重視すべき要件に加え、送受電に関わる設備の状況も踏まえて再生可能エネルギーを十分に調達できるかどうかが重要になる。
次回は、再生可能エネルギー利用を考慮に入れた場合に、データセンターの立地がどのように変わる可能性があるのかを検討する。
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