火災を予防することが先決だが、それと同時に火災が発生した場合の備えも検討しておく必要がある。データセンターで火災が発生した場合の消火手段を紹介する。
前編「段ボールやプラスチックはNG? 『データセンター火災』を防ぐ基本行動」は、データセンターの防火対策と火災検知を紹介した。火災が広がる前に対処できるのが理想だが、火災が広がってしまった場合に備えて、消化手段を検討しておく必要がある。
さまざまな消火手段がある。データセンターでは、ガスやスプリンクラーを消化に使うのが一般的だ。スプリンクラーは水によって消化する。データセンターはサーバなどIT機器を収容しているため、水による消火には注意すべき点がある。
スプリンクラーは火災による周囲温度の上昇によって、ヘッド(水の放出部)内のヒュージブルリンク(感熱部の分解に使われる部品)が溶けることで作動し、空間に散水する。スプリンクラーが作動すると、データセンター設備の損傷や漏電を引き起こす恐れがある。
そこでデータセンターは一般的に、乾式配管を使った予作動式スプリンクラーを採用する。予作動式スプリンクラーは、火災感知器とヘッドの双方が作動しないと放水しない。乾式配管は、さび防止のために加圧した空気または窒素で内部が満たされている配管だ。何かの原因で配管内に水が流れ込んだ場合は、散水の前にアラートを出せる。
水が配管内に入るのは、2つの火災感知器がアラートを鳴らした場合に限られる。だがヘッドのヒュージブルリンクが火災の熱で溶けるまで散水しない。湿式(常に配管に水がある方式)配管のスプリンクラーと比べた場合の、乾式配管のスプリンクラーの短所は、室内に散水する前に煙と火によって設備が損傷するリスクがあることだ。
一方、水噴霧消火設備は、水を微細な噴霧状にして放出し、蒸発によって熱を奪う。データセンター設備が故障するほど水にぬれることは、まずない。通常のスプリンクラーの散水が届かないキャビネット内にも噴霧が入り込み、煙を抑制する。データセンター設備にとっては火だけではなく煙も有害であるため、煙による被害を抑制する効果がある。
後編はガスを使ったデータセンターの消火方法を紹介する。
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