AWSとMicrosoftはそれぞれ、災害対策用のインフラをクラウドサービスに構築できる「DRaaS」を提供している。それぞれのDRaaSはどのような機能があるのか。
Amazon Web Services(AWS)やMicrosoftなどのクラウドベンダーは、DR(災害対策)に必要な機能をまとめたクラウドサービス「DRaaS」(Disaster Recovery as a Service)を提供している。AWSの「CloudEndure Disaster Recovery」(CloudEndure)や、Microsoftの「Azure Site Recovery」などのDRaaSを利用することで、ユーザー企業は自社の災害対策を容易にすることができる。
前編「AWSのCloudEndure Disaster RecoveryとAzure Site Recoveryの用途、構造の違い」に続き、CloudEndureとAzure Site Recoveryの主要な機能を説明する。
CloudEndureは、本番用のマシンからステージング領域に、ブロック単位の非同期レプリケーション(複製)を実施する。ステージング領域は、低コストの予備のマシンとして機能する。災害発生時、クラウドサービスに用意したレプリカに切り替えるフェイルオーバーを実行する場合は、この予備マシンから仮想マシン(VM)を起動する。本番用のマシンを停止することなく、DRリソースをテストすることも可能だ。
AWSは、クラウドサービスでDRを実現することを目的として、CloudEndureのステージング領域を設計している。このステージング領域では、データ消失の直前の状態までインフラを復旧する「ポイントインタイムリカバリー」も利用可能だ。ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃や不注意によるデータの削除・変更から保護できる。
CloudEndure組み込みのオーケストレーションエンジンは、VMの変換プロセスを自動化する。VM変換はフェイルオーバー操作中に必要になる作業だ。このオーケストレーションエンジンは、必要に応じて数千台規模のVMのフェイルオーバーを実現する。
MicrosoftのAzure Site Recoveryは機能面でCloudEndureと似ている。例えばCloudEndureと同様、Azure Site Recoveryの主要機能もデータのレプリケーションだ。Azure Site Recoveryは予備のマシンを構築し、その予備マシンに30秒おきに非同期でデータをレプリケートするため、1分未満のRPO(目標復旧時点)が実現する。管理者はMicrosoftのロードバランサーサービス「Traffic Manager」を使って、復旧時のトラフィック(ネットワークを流れるデータ)に優先順位を付け、RTO(目標復旧時間)を短縮することも可能だ。
ユーザー企業はAzure Site Recoveryの無停止テスト機能を使うことで、本番環境に影響を及ぼさずにフェイルオーバーの訓練や検証を実行できる。自社のシステムに合わせた復旧計画を設定することも可能だ。IT管理者は復旧計画をカスタマイズしてVMを復旧する順序を制御できるため、アプリケーションの復旧プロセスを容易に実行できる可能性がある。
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