GartnerとIDCの調査では買い替え需要が高まる兆し
「iPhone 12」が「5Gスマホは買わずに待つべし」という“常識”を変えた
低迷していたスマートフォン市場が回復し始めた。アナリストはその要因として、Appleの「iPhone 12」シリーズによる「5G」スマートフォン市場の活性化があるとみる。GartnerやIDCの調査結果から市場の動きを探る。
「5G」(第5世代移動通信システム)による通信が可能なAppleのスマートフォン「iPhone 12」シリーズは、それまで低迷していたスマートフォン市場に活を入れ、2020年第4四半期の下支えとなった。
調査会社Gartnerが2021年2月に発表したレポートによると、2020年第4四半期(10月~12月)の世界スマートフォン市場では、Appleの「iPhone」シリーズの販売台数が前年同期比で14.9%伸びて約7990万台となり、首位を獲得。Samsung Electronicsは約6210万台で2位だった。Gartnerの調査データによると、Appleがスマートフォンの四半期販売台数で世界首位に立つのは2016年第4四半期以来となる。
2021年1月には調査会社IDCが、2020年第4四半期における世界全体の小売業者へのベンダー別スマートフォン出荷台数を発表。Appleが約9010万台で首位に立ち、2位のSamsung Electronicsが約7390万台だったと報告している。
Gartnerによると、2020年第4四半期におけるスマートフォンの世界販売台数は約3億8460万台で、前年同期(約4億660万台)と比べて5.4%減少した。ただし2020年第1四半期(1月~3月)と第2四半期(4月~6月)が前年同期比20%以上の減少、第3四半期が5.7%の減少だったことを考えると、減少率は改善した。「2020年第4四半期は5Gモデルや中~下位モデルの販売が増え、スマートフォン市場全体の落ち込みを最小限に抑えた」と、Gartnerのアナリスト、アンシュル・グプタ氏は指摘する。
iPhone 12が「5Gスマホは買いかどうか」を愚問にした“あの理由”
2020年通年では、スマートフォンの世界販売台数は12.5%減となった。Appleは第4四半期に首位に立ったものの、通年の販売台数はSamsung Electronicsが首位となり、18.8%の市場シェアを獲得。Appleは14.8%のシェアで2位となった。AppleがiPhone 12シリーズを発売したのは2020年10~11月のことだ。
Appleは「消費者が5Gスマートフォンを買いたがらない」という問題を乗り越えた。米国では5Gのデータ伝送速度がいまひとつだったことや、デバイスベンダー各社が5Gモデルをフラグシップ機として高価格に設定していたことから、消費者の購入意欲は低調だった。AppleはiPhone 12のベースモデルを1000ドル以下で販売し、消費者が納得できる価格で5Gデバイスを購入できるようにした。
「Appleがついに5Gモデルをリリースし、iPhone 12のフルラインアップをそろえたことで、驚異的なアップグレードサイクルが始まった」と、Gartnerのアナリストであるアネット・ジマーマン氏は語る。さらにジマーマン氏は、iPhoneは向こう6カ月も好調な販売が続くだろうと付け加える。
GartnerとIDCはいずれも、2021年はスマートフォンの販売が増加すると予想している。安価な5Gスマートフォンが登場すれば、多くの消費者がアップグレードすると業界アナリストはみる。
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