シンプルで安価な「Raspberry Pi」には、さまざまな目的に応じた使い道がある。企業におけるRaspberry Piの具体的な用途を紹介する。
「Raspberry Pi」は、最低限の要素から成るコンピュータ「シングルボードコンピュータ」(SBC)だ。企業利用に特化したコンピュータには及ばないものの、特定の用途では手頃な価格でカスタマイズ性のある代替品として活用できる。
外付けHDDを接続したRaspberry Piは、NAS(ネットワーク接続型ストレージ)として機能する。数百人規模のエンドユーザーが使うNASとして使うことは難しいが、支社や中小企業にとってはシンプルで手頃な選択肢になる。無線LANが利用可能な「Raspberry Pi Zero」は、有線ネットワークでしか接続できないプリンタを、無線LANでアクセス可能なプリンタに変えることに役立つ。
管理対象システムに関する情報やメッセージをディスプレイに表示するためのデバイスとしても、Raspberry Piを活用可能だ。オープンソースOS「Linux」が稼働するRaspberry Piで監視ツールを実行し、HDMI接続でディスプレイに出力すると、カスタマイズに優れたダッシュボードになる。こうした仕組みはデジタルサイネージ用のディスプレイ制御にも応用できる。これらの用途には、イーサネットコネクタを搭載した「Raspberry Pi 4 Model B」が適切だ。
シンクライアントデバイスとしてRaspberry Piを使うこともできる。通常のシンクライアントデバイスよりも安価な代替品として、Raspberry Piを使うオプションを提供しているベンダーがある。CPUやメモリの要件を満たすRaspberry Piであれば、Citrix SystemsやVMwareのデスクトップ仮想化ツール、Windowsのリモートアクセス機能「Remote Desktop Protocol」(RDP:リモートデスクトッププロトコル)利用時のシンクライアントデバイスとして利用可能だ。
明確な用途がすぐに見つからなくても、Raspberry Piの使い方を学ぶことは、ハードウェアの理解やLinuxへの親しみを深める良い手段になる。コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」の軽量版ディストリビューション(配布用パッケージ)「MicroK8s」をRaspberry Piで実行すれば、Kubernetesの入門にも役に立つ。
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