「Raspberry Pi」をビジネスで生かそうとする取り組みが広がっている。どのような用途があるのか。こうした用途の例から見える、Raspberry Piの“本来の生かし方”とは。
小型のシングルボードコンピュータ(SBC:最低限の要素から成るコンピュータ)である「Raspberry Pi」は、ディスプレイと接続するためのHDMIポートや、キーボードやマウスをつなぐためのUSBポートを備える。特殊なスクリプトを使えば「Windows」を動かすことが可能だ。「Raspberry Piを普通のコンピュータとして使って、何が楽しいのだろうか」という疑問は残るが。
これまでの活用例を整理すると、Raspberry Piの用途の広さに驚く。音楽ストリーミングから電気自動車(EV)の自動充電、クラスタの運用まで、Raspberry Piはユーザーの創造力や創意工夫の意欲を刺激してきた。
ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC:高性能計算)にRaspberry Piを導入した組織がある。2017年に米国ロスアラモス国立研究所(LANL:Los Alamos National Lab)は、750台のRaspberry Piから成るクラスタを構築。研究者がHPCアプリケーションを、実際のスーパーコンピュータに展開する前にテストできるようにした。
オンプレミスの“ミニプライベートクラウド”としてRaspberry Piを使用し、コンテナオーケストレーターの「Kubernetes」を運用している組織もある。コンテナに対するIT担当者の理解力向上が目的だ。
使用できるリソースが限られていることから、Raspberry Piを複雑なシステムの構築に使うことは難しい。ただし複雑なシステムのミニバージョンを構築し、テストする手段としては、Raspberry Piはうってつけだと考えられる。
Raspberry Piは明らかに、子どもにプログラミングを教えるためだけのものではない。全てのIT担当者にとって便利で強力なツールだ。
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