「Raspberry Pi」を工作好きのコンシューマー向け製品だと捉えるのは正しくない。ビジネスに役立つRaspberry Piの用途は幾つもある。注目すべき5つの用途を解説する。
小型ボード型コンピュータの「Raspberry Pi」を「一時的な流行」「工作好きのアマチュア向けの製品」だと捉えていた人は少なくないだろう。Raspberry Piは2012年に始めて出荷されて以来、企業でも導入され始めている。
Raspberry Piの価格は手ごろだ。上位モデルの「Raspberry Pi 3 Model B+」は35ドル、無線LANとBluetoothでの通信が可能な「Raspberry Pi Zero W」は10ドル、エントリーモデルの「Raspberry Pi Zero」はたったの5ドルだ。本稿では、この低価格のRaspberry Piがビジネスを変える5つの実用例を紹介する。
新しいデバイスの試作品開発といえば、昔は電気技師が、美しいとはいえない緑色のプリント基板(PCB)を使い、メカやソフトウェアの機能をテストしながら進めることが一般的だった。この工程は数カ月に及ぶことも珍しくなく、数千ドルものコストがかかることもあった。
こうした試作品の開発工程の合理化に、Raspberry Piを活用する動きがある。モデルによって異なるが、Raspberry PiはUSB端子、イーサネット端子、HDMI端子、拡張カード追加用の端子など、さまざまな端子を備える。40ドル弱のRaspberry Piを購入して手近な工作室に行けば、迅速かつ低コストの概念実証(PoC)が可能になる。
1000個以下の少量生産で価格の高い製品では、Raspberry Piを使った製品開発が有力な選択肢になる。
40ドル弱という価格を考えると、Raspberry Piを比較的安価な製品に組み込むのは、ビジネスとして採算が取れない。製品を100ドル前後で小売り販売するとしたら、卸売業者がメーカーに支払う金額は50ドル程度にとどまる可能性がある。そうなると、Raspberry Piに40ドル弱を負担していては、ほとんど利益が得られない。
数千ドルのハイエンドな製品の開発なら、40ドル弱の投資はささいだ。Raspberry Piには、汎用(はんよう)入出力(GPIO)のような多様な制御機能や拡張機能があり、開発の時間とコストを大幅に削減できる。
工場でも、製品の製造を円滑にする目的でRaspberry Piが導入されている。工場で一般的に利用されている産業用PCの代わりにRaspberry Piを導入することで、数1000ドルの節約になる可能性がある。
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