スマートフォンの値下げ競争再びか
「低価格5Gスマホ」はなぜ売れるのか? Gartnerに聞く
2020年には下落傾向だった世界のスマートフォン販売台数は、2021年に回復する見込みだ。低価格の5Gスマートフォンが市場回復の原動力になるとGartnerは予測する。その根拠とは。
2020年のスマートフォン市場は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の影響で低迷した。2021年には低価格の「5G」(第5世代移動通信システム)による通信が可能なスマートフォンが販売を後押しし、市場全体が回復すると業界アナリストは予測している。
調査会社Gartnerが2021年2月に発表したレポートによると、200ドルからという低価格帯の5Gスマートフォンの販売が急増することで、2021年のスマートフォン販売台数はパンデミック前の水準に迫るところまで回復する見込みだ。2020年の販売台数は前年比約10.5%減の約13億8000万台だったが、2021年には前年比約11.4%増の約15億4000万台になると同社は予想する。
Gartnerが明かす「低価格5Gスマートフォン」が売れる理由
米国などの成熟市場や中国における5Gスマートフォンの低価格化と5Gサービスの向上が、スマートフォン需要を高めるとGartnerは予想している。同社の調査アナリストを務めるアンシュル・グプタ氏は「2020年には経済の不確実性が強まったため、多くの消費者がスマートフォンの買い替えを見送った」と説明。2021年にはあらゆる地域でローエンド5Gスマートフォンの販売が進むと予測する。同社の推計では、2021年には5Gスマートフォンの販売台数がスマートフォン市場全体の約35%を占め、2020年には約2億1000万台だった販売台数が約5億4000万台まで増加するという。
5Gへの移行を進めるには、低価格帯の5Gスマートフォンが必要不可欠だ。消費者は「4G」(第4世代移動通信システム)サービスとあまり代わり映えしない5Gサービスに追加の出費を投じようとはしないだろう。調査会社Opensignalが2020年10月に発表したレポートでは、米国の5Gのダウンロード時のデータ伝送速度は主要15市場の中で最下位だった。米国の5Gユーザーが実際に5Gに接続している時間は、まだ総接続時間の20%程度だ。
米TechTarget傘下の調査会社Enterprise Strategy Group(ESG)のアナリスト、マーク・バウカー氏は、5Gのポテンシャルは「今すぐ5Gスマートフォンを購入する動機にはならないだろう」と語る。「大多数の人、大多数のアプリケーションはまだ、5Gの能力をフルに活用していない」(バウカー氏)
こうした状況を受け、ベンダー各社は5Gスマートフォンの価格を下げて消費者を引き寄せようとしている。調査会社IDCのアナリストであるライアン・リース氏は「4Gスマートフォンを買いに店を訪れた消費者も、価格があまり変わらなければ5Gスマートフォンを買って帰るのではないか」と語る。
スマートフォンベンダーはこれまでも、価格に敏感な市場に合わせて価格を調整してきた。Appleは5G準拠の「iPhone 12」を1000ドル以下の価格で発売した。Samsung Electronicsもスマートフォン「Galaxy」シリーズの価格を引き下げざるを得ず、ベースモデルの「Galaxy S21」を約800ドルと、旧モデル「Galaxy S20」の1000ドルより大幅に低い価格で発売した。「ハイエンドモデルを扱うベンダーも、スマートフォン価格がかなり前から上限に達していることを認識している」とリース氏は語る。
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