Googleはスマートフォン「Pixel 6」で、SoCを従来モデルに搭載してきた「Snapdragon」から、独自開発の「Google Tensor」に置き換えた。同社が明かしたその理由に対して、疑問の声を上げる専門家がいる。
スマートフォン「Pixel」シリーズの「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」発表イベントでGoogleは、Googleが独自に開発したSoC(CPUや関連プロセッサをまとめた統合型チップ)「Google Tensor」のデモを披露した。デモでは、米国のテレビ番組にも出演している日本の片付けコンサルタント「こんまり」こと近藤 麻理恵氏に、Googleのプロダクトマネジャーがインタビュー。近藤氏が日本語で答えると、Pixelがそれをリアルタイムで英語に翻訳した。
Tensorは、Pixelのカメラの高度な機能も実現する。「Magic eraser」(消しゴムマジック)という機能は、写真から不要な部分を消すことができる。例えば撮影時にたまたま映り込んだ通行人を写真から消せる。自動で顔にフォーカスを合わせる機能は、動いている被写体の鮮明な撮影を可能にする。自然な肌の色を再現する機能もある。
これまでのスマートフォン向けSoCは「当社の研究のペースに追い付いていなかった」と、Googleのプロダクトマネジメント担当シニアディレクターを務めるモニカ・グプタ氏は主張。「SoCが追い付くのを待つよりも、自社で開発することにした」と説明する。Pixelの過去モデルではQualcomm製のSoCを採用していた。
調査会社Futurum Researchのアナリスト、オリビエ・ブランチャード氏は、グプタ氏のスマートフォン向けSoCに関する説明に異議を唱える。GoogleはQualcommの「Snapdragon 888」といった高速処理が可能なSoCをPixelに使わないことにしたと、ブランチャード氏は述べる。「実際のところ、Googleはここ数年、『利用可能な最高のSoCを採用しない』選択をしている」(同氏)
自社開発SoCへの転換は、Googleより前にAppleが進めてきた。Appleは、自社で設計したSoCをスマートフォン「iPhone」シリーズに採用している。2020年には自社で設計したArmアーキテクチャベースのSoC「Apple M1」を発表。「Mac」「MacBook」「iPad」といった同社製デバイスで、Intel製CPUの代わりにM1の搭載を開始した。
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