企業がランサムウェア攻撃を受けた際の復旧にはサイバーセキュリティ保険を活用できる。一方で専門家は、ランサムウェア攻撃が活発化する中でサイバーセキュリティ保険の懸念点を指摘する。それは何なのか。
「サイバーセキュリティ保険」は、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃の被害からの復旧を支援する。サイバーセキュリティ保険は身代金の支払いをカバーするだけでなく、ダウンタイムの発生に伴う補償、データ復旧作業、被害範囲の調査にかかるコストなどを支援するものもある。
ここ数年、サイバーセキュリティ保険の人気が高まっている。米政府説明責任局(GAO)のレポートによると、米大手保険会社Marsh & McLennanの顧客のうちサイバーセキュリティ保険を導入した企業の割合は、2016年の26%から2020年には47%に上昇した。
身代金の支払いをカバーするコストの高騰を乗り切るため、保険会社は保険料と保険の対象範囲をきめ細かく調整し始めている。身代金の支払い、ビジネスの中断の補償、第三者に裁判を起こされるリスクなど、保護対象を細分化している。「保険を申し込もうとしても、見積もりを出してもらえない場合がある恐れがある」と、米TechTarget傘下の調査会社Enterprise Strategy Groupのアナリストであるデーブ・グルーバー氏は説明する。
保険会社に法外な保険料を設定されたり、サイバーセキュリティ保険の対象外にされたりする可能性を下げるために、企業は自社に必要な補償範囲を見極めるとよい。多要素認証の実装やデータバックアップ、パッチ適用などを通じて、ランサムウェア攻撃のリスクを軽減できる。
調査会社Gartnerのアナリストであるポール・プロクター氏によると、被害企業が身代金を支払うかどうかを決断するときは、業績の観点から決めるとよい。攻撃者によってデータが盗まれたり暗号化されたりすると、被害企業にとっては、いつからいつまでの業務に、ひいては業績にどの程度の影響が及ぶかが問題になる。「企業は、身代金を支払って“賭けに出る”ことが、ビジネス上の損失を埋めるのに値するかどうかを検討しなければならない」とプロクター氏は話す。
企業がランサムウェア攻撃からの復旧を容易にし、身代金を支払いたいという誘惑を抑えるには、次のベストプラクティスを実践するとよい。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
Omnicomが Interpublic Groupを買収 世界最大級の広告会社が誕生へ
OmnicomがInterpublic Group(IPG)を買収する。これにより、世界最大の広告会社が誕生し...
インテントデータ×キーエンス出身者のノウハウで実現 ABMを先に進める最先端の営業手法とは?
ユーソナーとGrand Centralは提携し、営業売り上げ拡大のためのBPOパッケージを提供開始...
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2024年12月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...