「VPC」とはどのようなクラウドサービスなのか。VPCを利用するメリットと注意点とは。一般的なパブリッククラウドの仮想マシンサービスとの違いを交えて解説する。
「VPC」(仮想プライベートクラウド)は、クラウドベンダーが提供する論理的に独立した仮想ネットワークおよび仮想マシン(VM)だ。プライベートIPアドレスや仮想LAN(VLAN)などのネットワーク技術を使い、クラウドベンダーのインフラを論理的に区分することで実現する。前編「いまさら聞けない『VPS』(仮想プライベートサーバ)とは 利点と注意点を整理」に続く本稿は、VPCでアプリケーションを稼働させるメリットと注意点を説明する。
VPCサービスは一般的なパブリッククラウドのVMサービスと同様、CPUやメモリ、ストレージなどの物理サーバのリソースを仮想化し、VMとして利用できるようにする。パブリッククラウドサービスのVMと比べ、VPCはインフラを細かく制御できる。ユーザー企業がネットワーク設定を管理することも可能だ。
仮想LAN(VLAN)をはじめとする仮想ネットワーク技術で分離された専用リソースを利用できることが、VPCのメリットとして挙げられる。パブリッククラウドのVMサービスと比較して余分なコストや処理負荷を発生させずに、インフラの管理性やセキュリティを向上させやすい。クラウドベンダーのVPCサービスの場合、同じベンダーのパブリッククラウドサービスと管理ツールが共通していたり、データ連係の仕組みが整っていたりするため、ハイブリッドクラウドの構築が容易だ。
VPCは、パブリッククラウドのVMサービスよりも細かく制御できるインフラを求める企業にとって魅力的な選択肢となる。高い信頼性やセキュリティが必要なインフラを必要としていながら、オンプレミスのインフラにプライベートクラウドを構築する予算やハードウェアのリソースが不足している中小企業には特に適している。
パブリッククラウドのVMサービスより利用料金が高価な傾向があることが、VPCの課題だ。構成と管理、監視が複雑になりやすいことにも注意する必要がある。VPCはユーザー企業のファイアウォール外で動作するため、企業が守る必要がある法規制によっては利用できない恐れがある。
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