いまさら聞けない「VPC」(仮想プライベートクラウド)とは 普通のVMとの違い「VPS」と「VPC」の違い【後編】

「VPC」とはどのようなクラウドサービスなのか。VPCを利用するメリットと注意点とは。一般的なパブリッククラウドの仮想マシンサービスとの違いを交えて解説する。

2021年03月19日 05時00分 公開
[Robert SheldonTechTarget]

 「VPC」(仮想プライベートクラウド)は、クラウドベンダーが提供する論理的に独立した仮想ネットワークおよび仮想マシン(VM)だ。プライベートIPアドレスや仮想LAN(VLAN)などのネットワーク技術を使い、クラウドベンダーのインフラを論理的に区分することで実現する。前編「いまさら聞けない『VPS』(仮想プライベートサーバ)とは 利点と注意点を整理」に続く本稿は、VPCでアプリケーションを稼働させるメリットと注意点を説明する。

VPC(仮想プライベートクラウド)とは

 VPCサービスは一般的なパブリッククラウドのVMサービスと同様、CPUやメモリ、ストレージなどの物理サーバのリソースを仮想化し、VMとして利用できるようにする。パブリッククラウドサービスのVMと比べ、VPCはインフラを細かく制御できる。ユーザー企業がネットワーク設定を管理することも可能だ。

 仮想LAN(VLAN)をはじめとする仮想ネットワーク技術で分離された専用リソースを利用できることが、VPCのメリットとして挙げられる。パブリッククラウドのVMサービスと比較して余分なコストや処理負荷を発生させずに、インフラの管理性やセキュリティを向上させやすい。クラウドベンダーのVPCサービスの場合、同じベンダーのパブリッククラウドサービスと管理ツールが共通していたり、データ連係の仕組みが整っていたりするため、ハイブリッドクラウドの構築が容易だ。

 VPCは、パブリッククラウドのVMサービスよりも細かく制御できるインフラを求める企業にとって魅力的な選択肢となる。高い信頼性やセキュリティが必要なインフラを必要としていながら、オンプレミスのインフラにプライベートクラウドを構築する予算やハードウェアのリソースが不足している中小企業には特に適している。

VPCの注意点

 パブリッククラウドのVMサービスより利用料金が高価な傾向があることが、VPCの課題だ。構成と管理、監視が複雑になりやすいことにも注意する必要がある。VPCはユーザー企業のファイアウォール外で動作するため、企業が守る必要がある法規制によっては利用できない恐れがある。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか

なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか
メインフレームを支える人材の高齢化が進み、企業の基幹IT運用に大きなリスクが迫っている。一方で、メインフレームは再評価の時を迎えている。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...