Microsoftは「Windows」「Office」といった同社製品を競合クラウドサービスで使用する際のライセンス料金を高くしている。これは欧州の独占禁止法に違反している可能性がある。問題解決に向けて、同社はどう動くのか。
Microsoftはクラウドサービスのライセンス規約について、欧州連合(EU)の欧州委員会から独占禁止法違反の調査を受けている。同社はこの問題を是正すると約束している。
問題となっているのは、Microsoftがライセンス規約を変更し、「Microsoft Azure」以外のクラウドサービスで「Windows」やオフィススイートの「Microsoft Office」、サーバOSの「Windows Server」、リレーショナルデータベース管理システムの「SQL Server」を使用する場合のライセンス料金を高くしたことだ。
通信社のBloombergは2022年4月12日(現地時間、以下同じ)の報道で、この問題の影響を受けた顧客の事例を伝えた。そのうち1社はAzureからGoogleのクラウドサービス「Google Cloud Platform」(GCP)に移行しようとしたところ、Windowsのライセンス料金が約5000万ドル(約63億5000万円)増加することが分かったという。このライセンス規約の変更による、一般的なユーザー企業に対する正確な増加額は不明だ。
Microsoftは2022年4月、同社のライセンス規約変更に対する苦情を認めた。同社プレジデントのブラッド・スミス氏は「こうした苦情の全てが妥当というわけではないが、中には妥当なものもある」と説明。「必ず早急に変更を加えて対処する」と明言した。
どのような苦情を妥当だと見なし、規約にどのような変更を加えるかについて、Microsoftは詳しいことを明らかにしていない。
欧州のクラウド業界団体CISPE(Cloud Infrastructure Services Providers in Europe)は2022年4月14日、Microsoftの対処は「適切とは考えられない」と述べ、Microsoftに即刻この問題を是正することを求めた。CISPEにはAmazon Web Services(AWS)も加盟している。
CISPEは「『さらに状況を確認して、何らかの修正をする』といった不明瞭な約束ではなく、至急の問題解決が必要だ」と主張する。Microsoftが問題を解決するための具体的かつ有効な措置を講じるまで、規制当局はMicrosoftに対する苦情について「徹底的な調査を続ける必要がある」というのがCISPEの考えだ。
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