PaaSで“クラウド破産”が起きる理由とその回避策「PaaS」を解剖する【第2回】

PaaSの採用はアプリケーション開発にとって最善の選択肢とは限らない。PaaSを利用するときのリスクと注意点とは。

2022年06月17日 05時00分 公開
[Tom NolleTechTarget]

 クラウドベンダーは、アプリケーション開発に役立つミドルウェアを中心としたソフトウェア機能を「PaaS」(Platform as a Service)として提供している。ユーザー企業はPaaSを使うことでアプリケーション開発を効率化したり、アプリケーション管理を容易にしたりできる。

 PaaSのメリットを実感するのは主にアプリケーション開発チームだ。一方で主に最高財務責任者(CFO)はPaaSへの懸念を抱きがちだという。その理由とは何か。代表的なPaaSのデメリットは3つある。それは、

  1. コストが読みにくい
  2. PaaS間の移行が難しい
  3. 複数PaaSの併用が難しい

の3つだ。それそれを説明する。

1.コストが読みにくい

 PaaSを使い続けるには、当然ながら利用料金を払い続ける必要がある。PaaSの利用料金は使用量に基づくのが一般的だ。アプリケーションの利用頻度が高くなると、必然的にそのアプリケーションが使うPaaSの利用料金は上昇する。こうしたことから、予期せず利用料金が予算を超過するリスクがある。

2.PaaS間の移行が難しい

 クラウドベンダーごとに、PaaSの仕様は異なるのが一般的だ。そのため利用するPaaSを変えると、アプリケーションを大幅に作り替えなければならなくなる可能性がある。アプリケーションの移植性が低いことは、ベンダーロックインを恐れるユーザー企業にとっては大きな問題になる。

3.複数PaaSの併用が難しい

 特定ベンダーのPaaSをアプリケーション開発に利用すると、他ベンダーのPaaSで同じアプリケーションを実行できなくなる可能性がある。このような場合、複数のPaaSで同一のアプリケーションを利用したい場合でも、PaaSごとにアプリケーションの仕様を変更しなければならないのが一般的だ。PaaSの利用料金はクラウドベンダーによって異なる。複数のPaaSを併用すると、利用料金の計算や予測が難しくなる恐れがある。


 第3回は、PaaSのデメリットを解消する方法を説明する。

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