PaaSの課題は「オープンソースPaaS」製品を利用することで解消できる場合がある。オープンソースPaaS製品のメリットと、その一つである「CapRover」を取り上げる。
PaaS(Platform as a Service)はアプリケーションの開発・実行に必要なインフラや技術を利用しやすくして、開発プロセスを簡素化するミドルウェアのクラウドサービスだ。PaaSはインフラの構築や管理の複雑さを排除し、アプリケーションの市場投入までの時間を短縮する。
使いやすいことがPaaSの特徴だ。ただしPaaSには課題が幾つかある。ベンダーロックインは深刻な課題の一つだ。主要なPaaSはベンダー独自の仕組みで稼働しているため、一般的には他ベンダーのPaaSでは再現できない。PaaSの移行には相応のコストと労力を必要とする。
そこで役立つのが、PaaSを構築可能なオープンソースソフトウェア(OSS)である「オープンソースPaaS」製品だ。オープンソースPaaS製品はサーバ管理の必要性を完全になくすわけではない。それでもアプリケーションのインフラ構築と管理のプロセスを簡素化する効果がある。アプリケーションを市場に投入するために必要な労力が減るだけでなく、アプリケーションを稼働させるインフラと方法を細かく選択できる。
本連載が紹介する6つのオープンソースPaaS製品は、クラウドインフラの特徴を生かしつつインフラ管理を簡素化させるために利用できる。
1つ目はサーバ構築管理ツールの「CapRover」だ。CapRoverは、プログラミング言語「TypeScript」を使用して構築されている。数個のコマンドだけでサーバを立ち上げることができる。コンテナ管理ツール「Docker」のコンテナを構築し、管理することも可能だ。CapRoverの独自形式ファイル「Captain Definition File」は、アプリケーションのインフラを適切に運用するのに必要な、リソースなどの依存関係を全て記述する。これにより開発したアプリケーションを最小限のオーバーヘッド(付加的な動作時間)で実行できる。
CapRoverは、他のOSSや技術をワンクリックで実装できるようにするためのマーケットプレースを提供している。このマーケットプレースを介してコンテンツ管理システム(CMS)「WordPress」やデータベース管理システム(DBMS)「MySQL」などの技術の利用が容易になり、CapRoverを用いたアプリケーション開発の複雑さを軽減できる。
次回以降は、残る5つのオープンソースPaaS製品を紹介する。
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