航空機の事例で学ぶ次世代通信
「機内で無線LAN」はなぜできる? 航空会社が“宇宙”に着目する理由
新型コロナウイルスによる影響から回復しつつある航空業界。南米の航空会社LATAMはIntelsatと協力し、乗客が快適に利用できる機内接続サービスを提供する。どのような技術を使うのか。
南米の大手航空会社LATAM Airlines Group(LATAM)は、同社が保有する航空機に通信衛星会社Intelsatが提供する「インフライト接続」(IFC)を導入する。IFCは航空機の乗客が機内で利用するデバイスを無線LANに接続する機能。LATAMがIFCを導入する狙いと、その仕組みはどのようなものなのか。
航空会社が着目する「機内で無線LAN」の仕組みとは?
併せて読みたいお薦め記事
衛星通信に関連する注目記事
1929年にチリの国営航空会社LAN Airlinesとしてアルトゥーロ・メリノ・ベニテス氏が設立したLATAMは、ブラジルやチリ、コロンビア、エクアドル、ペルーなどで国内線を運航する。国内線に加えて、同社はラテンアメリカ(中南米)圏や欧州、米国、カリブ諸国などの地域間で国際線を運航している。
他の航空会社と同様、LATAMは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)の影響を受けた。同社の推定によると、2022年1月の有効座席キロ(ASK:総座席数×輸送距離)は、パンデミック前の2019年1月と比較して最大72%ほどまで回復した。2021年12月の有償旅客キロ(RPK:有償旅客数×輸送距離)は2019年1月と比較して68.8%、ASKは2019年12月と比較して70.1%だった。
LATAMがIFCを導入するのは、航空機メーカーAirbusが製造するナローボディ機(旅客機のうち内部の通路が1つしかないもの)だ。チリやエクアドル、ペルー、コロンビアを拠点に運航する「A320ceo」や「A320neo」などの航空機にIFCを導入する。最大160機が導入の対象となっており、導入完了までには3年を要するという。
約70機の新型機については、LATAMへの納入に先立ち、Intelsatが提供する衛星アンテナ「2Ku」をAirbusが米国と欧州の製造拠点で機内に設置する。
LATAMのチーフエクスペリエンス&カスタマーオフィサーのパウロ・ミランダ氏は、これまでLATAMはIntelsatと緊密に連携し、同社のブラジル拠点の航空機にIFCを提供してきたと語る。「チリやコロンビアなど、スペイン語圏の顧客も同様のサービスを望んでいる。今回の発表はそれを実現するための第一歩であり、Intelsatの2Kuを利用して、地域で最高のIFCを提供することを目指す」(ミランダ氏)
Intelsatの民間航空部門でコマーシャル担当シニアバイスプレジデントを務めるデイブ・ビジュール氏は「Intelsatの使命は、パートナーである航空会社の顧客が仕事やエンターテインメント用に使う、高品質で信頼性の高い接続を提供することだ」と語る。Intelsatは今後何十年にもわたって、顧客のLATAMや、南米全域の乗客に優れたIFCを提供していくと、ビジュール氏は強調する。
次世代の国際的な人の移動に貢献するため、Intelsatが衛星通信用のネットワークに投じる初期投資は約20億ドルに上る。このネットワークには、周波数変調や周波数帯域、軌道位置などをソフトウェアで再構成可能にする「ソフトウェア定義衛星」のような人工衛星も含まれている。ソフトウェア定義衛星を活用することで、ストリーミング(データを受信しながら同時に動画を再生する方式)が可能なレベルの接続を機内で提供しやすくなる。
「グローバルで統一された衛星通信のネットワークを用いることで、どの運航ルートでも、IFCを顧客に提供できるようになる」とIntelsatはコメントする。
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[ゾーホージャパン株式会社] サイバー攻撃からネットワークを守る上で確実に押さえておきたいポイントとは? -
事例
[アルプス システム インテグレーション株式会社] 中小企業でも安心して活用できる「手ごろなSOCサービス」とは? -
製品資料
[株式会社シーイーシー] 脱VMwareに成功した企業は何をどう実践した? 事例に学ぶ戦略立案&実装のコツ -
製品資料
[株式会社オービックビジネスコンサルタント] ランサムウェア攻撃を“二重の防御構造”で防ぐ、クラウド型基幹システムの実力 -
製品資料
[株式会社オービックビジネスコンサルタント] 動画で知るランサムウェア被害企業のリアル、会計データが無事だった理由とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
鹿島建設のDXを阻む「10年前のAWS」 安全性と自由度を両立したモダナイズ
-
2
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
3
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
4
NECの「BluStellar」に必要なデータ保護と活用のための技術とは
-
5
「Excel管理」では限界――製造現場の改善が進まない“隠れた原因”
-
6
Microsoft激怒のゼロデイ脆弱性「無断公開」 パッチを待つのが危険な理由
-
7
経営幹部が期待を膨らませる「AIエージェント」は何に使えるのか? 活用例5選
-
8
AI、クラウド、5G――産業界でもう始まっている「自動化革命」に乗り遅れるな
-
9
便利機能が「裏口」に コンテナの安全を脅かす“監視の穴”とは
-
10
「生成AI」が“勘と経験”に頼る製造業の救い主に 劇的に変わる活用例4選
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
3
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
8
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
9
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー