コロナ禍で落ち込んでいた衛星関連市場が回復し、2030年には200億ドル規模になることが予測されている。この市場を動かしているのは何か。
衛星関連の市場が活況を呈している。地球低軌道(LEO)衛星通信企業のOneWebが経営破綻から立ち直り衛星の打ち上げを進めている他、Space Exploration Technologies(SpaceX)が手掛けるプロジェクト「Starlink」も進行中だ。宇宙ビジネスの活発な動きを背景にコンサルティング会社Euroconsultは、衛星による通信と映像配信の市場が2030年に200億ドル(約2兆3000億円)を超えると予測している。
Euroconsultによると、2020年の衛星による通信と映像配信の市場は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の影響を受け、2019年と比べ約5%縮小した。パンデミック中はクルーズ客船や飛行機の利用客が激減し、これらに向けた衛星通信サービスの需要減が響いた。他にも低価格化による動画配信サービスの収益低下がマイナス要因になった。しかしEuroconsultはここにきて回復の兆しが見え、同市場は2022年にはパンデミック前の水準に戻るとみている。
衛星関連市場のけん引役になるのは、非静止軌道(NGSO)衛星だ。Euroconsultによると、NGSO衛星は2026年までの今後5年間、衛星全体の9割を占めるようになる。同社は衛星通信のデータ伝送速度に関して、2020年の3.7Tbps(テラビット/秒)から2022年には23Tbpsに上がるとみる。2026年には50Tbps以上になる予測だ。
「OneWebとSpaceXの衛星打ち上げがNGSO衛星の需要を拡大させている」と、Euroconsultカナダ法人のマネージングディレクターを務めるネイサン・デルイター氏は言う。衛星市場の成長領域になるのは、通信インフラが十分に整っていない地域の通信需要開拓や、移動中の人に向けた通信サービスの提供だ。Euroconsultによると、地上のネットワークの到達範囲外で運航している船舶や航空機は、約15%しか衛星通信を使っておらず、通信サービスの伸び代が大きい。
Euroconsultのシニアコンサルタントを務めるディミトリ・ブフス氏は、「市場を成長させるためには衛星通信事業者が地上ネットワークとの連携を進める必要がある」と指摘する。
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