東京2020オリンピックでは、オリンピック放送機構が競技映像の配信にクラウドサービスの「Alibaba Cloud」を活用した。どのようなメリットが得られたのか。
Olympic Broadcasting Services(OBS:オリンピック放送機構)は、世界的なスポーツイベントであるオリンピック競技大会をスムーズに放送するために、International Olympic Committee(IOC:国際オリンピック委員会)が2001年に設立した団体だ。OBSはコンテンツ配信システム「Content+」のインフラとして、Alibaba Cloudの仮想マシンサービス「Elastic Compute Service」(ECS)を採用した。第32回オリンピック競技大会(東京2020オリンピック)は、競技映像の配信インフラとして、クラウドサービスを使用することになった。
東京2020オリンピックの開催期間中、OBSのContent+担当スタッフが7000〜9000本のショート動画を制作し、放送事業者の競技放送を支援した。OBSのショート動画配信サービスを契約した放送事業者や通信社は、Webインタフェース経由でショート動画のデータを受け取り、自社の報道に利用できる。
OBSは制作途中の動画を放送事業者に向けて配信する仕組みも構築した。各社は競技が進んでいる間に低解像度のファイルをほぼリアルタイムで検索し、ポストプロダクション(映像の編集作業)のためにフル解像度でダウンロードしたい映像に目星を付けることができる。
「クラウドサービスとインターネット通信を利用することで、編集スタッフの居場所を問わないポストプロダクションが可能になり、映像制作のスピードが向上する」。Alibaba Cloudの国際ビジネスゼネラルマネジャー、セリナ・ユアン氏はこう語る。
Alibaba CloudはOBSにクラウドサービスを提供するだけではなく、東京2020オリンピックのスタッフが自身の体温と心拍数を監視するための耳装着型デバイスとアプリケーションも開発した。主催者が一部イベントのスケジュールを組み直さざるを得なくなるほどの東京の猛暑の中で、会場スタッフが熱中症になる可能性を下げるために使われた。このデバイスは熱中症リスクが高い状態にある人に、警告と熱中症の予防策を送信する仕組みを備える。
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