Appleがデータセンター建設用地を売却? なぜ失敗したのか頓挫したAppleのデータセンター建設計画【中編】

Appleは、アイルランド西部に保有する土地をデータセンター建設地として売却する計画を立てていた。しかし計画は難航している。計画が持ち上がった背景から頓挫した理由まで、経緯を解説する。

2022年09月06日 05時00分 公開
[Caroline DonnellyTechTarget]

 Appleは自社のデータセンター建設用に購入していたアイルランド西部の土地を、2019年にデータセンター建設用地として売りに出した。アイルランドと米国の不動産業者はこの土地を「すぐに利用可能なデータセンター建設地」と説明していた。

Appleのデータセンター開発計画はなぜ失敗したのか?

 不動産業者の資料には、Appleがアセンリーに保有するデータセンター建設用地の完成予定図が掲載されている。その図では合計8つのデータホール(サーバラックを設置する、壁に囲まれたスペース)を収容可能な設計が確認できる。

 Appleは同社の欧州事業を支えるデータセンターを建設するために、2014年にアセンリーの土地を買収した。同社は2015年、同地でのデータセンターの建設許可を取得している。しかし、主に地元住民による反対運動の影響により、同社はプロジェクトを進めることができなかった。2018年5月、同社はアイルランドでのデータセンター建設計画を断念することを発表し、その後、同地を売りに出した。

 2015年にAppleが取得した、データセンターの建設許可の有効期限は2021年9月までだった。土地の買い手が見つからない中、同社は2021年6月に建設許可の5年の期間延長をゴールウェイ郡議会に申請している。2021年8月にゴールウェイ郡議会はこの申請を認めたが、プロジェクトに反対の立場を取るアセンリーの住民アラン・デイリー氏と、環境コンサルティング会社Eco Advocacyがアイルランド高等法院に異議を申し立てた。

 2022年7月時点で、この土地におけるデータセンターの建設許可は下りていない。同地は空き地として売りに出される可能性がある。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news061.png

高齢男性はレジ待ちが苦手、女性は待たないためにアプリを活用――アイリッジ調査
実店舗を持つ企業が「アプリでどのようなユーザー体験を提供すべきか」を考えるヒントが...

news193.jpg

IASがブランドセーフティーの計測を拡張 誤報に関するレポートを追加
IASは、ブランドセーフティーと適合性の計測ソリューションを拡張し、誤報とともに広告が...

news047.png

【Googleが公式見解を発表】中古ドメインを絶対に使ってはいけない理由とは?
Googleが中古ドメインの不正利用を禁止を公式に発表しました。その理由や今後の対応につ...