「フランケンクラウド」に「FinOps」――。これらのクラウド関連用語の意味とは。クラウドに関するIBMやIDC Japanの調査結果、日立製作所のコンテナ検証用クラウドサービスなど、クラウドの主なニュースを紹介する。
複数のクラウドシステムを利用する際に生じる課題として、セキュリティ対策やコスト管理が挙げられる。これらの課題を解消するためのポイントとは。IBMが実施した企業のクラウドシステム利用に関する調査結果や、調査会社IDC Japanのクラウドサービス市場予測など、クラウドに関する主要なニュースを紹介する。
IBMは企業のクラウドシステム利用に関する調査結果「IBM Transformation Index: State of Cloud」を発表した。全回答者のうち、プライベートクラウド(リソース専有型クラウドシステム)とハイブリッドクラウド(リソース共有型クラウドシステム)を組み合わせたハイブリッドクラウドを利用しているのは77%だった。一方でクラウドシステムを含む複数のシステムを一元的に管理していると答えた回答者は23%にとどまった。この結果を受けてIBMは、一部の企業が複数のクラウドシステムを異なる管理方法で管理し、つぎはぎの状態になった「フランケンクラウド」の状態になっていると指摘する。フランケンクラウドはセキュリティ対策における見落としが生じやすく、データ漏えいのリスクが高まる。そのためIBMは、複数のクラウドシステムを一元管理する必要性を指摘する。調査は2022年6月から2022年7月にかけて、IBMの委託で調査会社のThe Harris Pollがオンラインで実施。日本を含む12カ国の企業のIT担当者3014人が回答した。(発表:日本IBM<2022年9月28日>)
IDC Japanは、2022年のクラウドサービスの国内市場規模が、2021年と比較して29.8%増の2兆1594億円になると見込む。同社はクラウド市場の現状について、「FinOps」にユーザー企業が関心を寄せていると指摘する。FinOpsは、従量課金やインフラの拡張性といった、クラウドサービスの特徴を生かしたコスト管理の手法だ。FinOpsの実践には単なるコスト管理にとどまらず、ガバナンス強化や企業文化の変革にも取り組むことが必要になる。そのためクラウドサービスだけではなく、組織文化の変革を支援するためのコンサルティングを組み合わせたサービスの需要が増すと、同社は考察する。(発表:IDC Japan<2022年9月15日>)
日立製作所が新たに提供を始めた「コンテナ導入支援サービス」は、コンテナの検証用インフラを月額課金で利用可能にしたクラウドサービスだ。検証用インフラにはAmazon Web Services(AWS)の同名クラウドサービスを利用する。コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」のディストリビューション(配布用パッケージ)として、VMwareの「VMware Tanzu」またはRed Hatの「Red Hat OpenShift」から選択できる。コンテナアプリケーション開発時のPoC(概念実証)の検証項目の立案に加えて、PoC時の技術支援もサービスとして提供。ユーザー企業は迅速にPoCを実施できるという。利用料金は検証用インフラの利用のみの場合、月額40万円(税別)から。技術支援などのサービスは個別見積もりとなる。(発表:日立製作所<2022年9月15日>)
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