スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売業者は、環境対策の取り組みにITを活用している。特にフードロス問題の対策として注目を集めるのが、あの技術だ。
「小売業者が環境対策のためにITを活用する動きはまだ始まったばかりだが、今後その取り組みは定着するはずだ」。小売業界のアナリスト、ミヤ・ナイツ氏は2021年末にそう語った。実際、小売業のさまざまな企業が環境対策やそのための技術活用を進めており、同氏の指摘は的確だった。特に注目の取り組みを紹介する。
スーパーマーケットのTescoとMarks and Spencer Groupは、環境対策への取り組み強化のため、技術を提供可能なスタートアップ企業との提携を検討している。オンラインリテーラーのThe Net-A-Porter GroupとMulberryは、サプライチェーンの透明性向上のため、販売するアパレル製品にサプライチェーン情報を記録したデジタルIDを付与している。
特に小売業者が注目する問題が、温室効果ガスの主な発生源であるフードロス(食べることのできる食品が廃棄になること)だ。国際連合(UN)が2022年9月に公表したブログによると、世界で生産される食料のうち約14%が収穫から小売りまでの過程でフードロスになっている。UNの推定では、世界全体の食料生産量のうち17%(家庭で約11%、食品サービスで約5%、小売りで約2%)が廃棄されている。
食料廃棄によるエネルギー問題も深刻だ。世界の食料サプライチェーンで使用するエネルギーの38%を食料廃棄が占めている。この領域における二酸化炭素(CO2)削減が重要であることは明らかだ。
問題の救世主として注目されるのが、モバイルアプリケーションだ。TescoやIceland Foodsなどのスーパーマーケットやコンビニエンスストア、コーヒーショップなどの小売業者は、さまざまなモバイルアプリケーションベンダーと提携し、フードロス問題に取り組んでいる。
第2回以降は、フードロス削減に取り組むモバイルアプリケーションベンダーについて詳しく見る。
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