群馬大学医学部附属病院が物理サーバの旧システムを「仮想化技術」で全面刷新NEWS

群馬大学医学部附属病院が、物理サーバで運用してきたシステムを仮想インフラに移行させた。動作の停止が人命に関わるシステムの可用性や堅牢(けんろう)性、稼働の安定性を高めるために導入した製品とは。

2022年11月28日 13時00分 公開
[成澤 亜希子TechTargetジャパン]

 群馬大学医学部附属病院は、電子カルテシステムや受付・会計システムなど、物理サーバで運用していたほぼ全てのシステムをVMware製品で構築した仮想インフラに移行させた。システムの構築はユニアデックスが担当した。2022年9月に新システムの運用を開始した。

“災害時にも無停止”を実現 群馬大学医学部附属病院が採用した手法とは

 群馬大学医学部附属病院は2022年4月時点で731床の病棟と約1700人超のスタッフを抱えており、災害拠点病院に指定されている。同病院のシステムは、落雷が起きやすい群馬県で発生する停電によって年に数回サーバ障害が発生することや、高度化するサイバー攻撃の対策を課題としていた。

 システム更改に当たり、群馬大学医学部附属病院は、仮想化技術を利用して耐障害性(フォールトトレランス、以下FT)を実現する「Virtual Fault Tolerance」(バーチャルフォールトトレランス、以下VFT)をコンセプトとして掲げた。FTは、同じ機能を担う物理サーバを2台稼働させることで障害発生時のシステム停止を避ける仕組みだが、ハードウェアの構成が複雑化することや、高コストになりがちなことが課題だ。VFTは仮想化技術を利用することでFTのコストを抑制することを目指した。

 今回導入した新システムで、群馬大学医学部附属病院は物理サーバで運用していたほぼ全てのシステムのインフラをVMware製品で仮想化した。具体的には、検体検査や放射線検査、受付・会計などの部門システムでストレージ仮想化ソフトウェアである「vSAN」を用いたハイパーコンバージドインフラ(HCI)を採用した。HCIの採用に当たっては、システムの可用性と運用効率を向上できる点を評価した。電子カルテシステムのストレージには、従来よりもデータ転送速度の高速化が可能な、Pure Storage製のオールフラッシュストレージを利用している。

院内システムの全面的な仮想化がもたらした効果

 群馬大学医学部附属病院では物理サーバで運用してきたシステムを仮想化することで、ハードウェア群の管理が容易になった他、ハードウェアの調達コストの削減や省電力化といった効果が得られた。ハードウェアの二重化により、障害発生時でもシステム稼働を継続できるようになった。

 電子カルテシステムのストレージは従来のストレージと比較して、応答時間が最大13倍に向上した。Pure storageの製品が搭載するランサムウェア(身代金要求型マルウェア)対策機能を利用することで、ランサムウェアによる攻撃を受けた場合にも電子カルテシステムを速やかに復旧させることが可能となった。

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