採用フローで求職者がどのような体験をするのか、企業に対してどのような印象を抱くのかに着目した「候補者体験」という言葉が米国で注目を集めている。候補者体験を重視すべきだと専門家が語る理由は。
求職者の状況改善を目指す非営利組織Talent Boardのプレジデント、ケビン・W・グロスマン氏は「候補者体験」(CX:求職者が採用のやりとりの中で得る体験価値)を重視する。採用活動における求職者とのコミュニケーションの巧拙が、企業の人材獲得だけではなく、ビジネスにも影響を及ぼすとの考え方が背景にある。具体的には、どのような影響があるのか。グロスマン氏に聞く。
―― 求職者に対する企業のコミュニケーションは、この数十年の間にどのように進化したのでしょうか。
グロスマン氏 進化はしていない。手厳しく聞こえる可能性があるが、これは極めて深刻なことだ。ただし変化はある。求職者とのコミュニケーションをよりタイムリーにするための技術が充実したことだ。人工知能(AI)技術を活用したAIチャットbotなどの「ジェネレーティブAI」(生成型AI:テキストや画像などを自動生成するAI技術)から、連絡手段としてのメールに至るまで、採用に関わる技術は大幅に成熟し、高度化した。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が始まって以来、採用市場はどちらかといえば求職者に有利だった。今もその状況は変わらない。世界がどのような状況にあったとしても、企業に対する求職者の評価を左右する要素は、採用活動における企業とのコミュニケーションの「一貫性」と「タイミング」だ。
われわれが注視する指標に「求職者の不満」がある。「採用を通して不快な思いをしたので、あの企業とは今後一切関わらない」といった不満だ。われわれのデータでは、こうした不満を抱く求職者の数は、他の地域と比べて北米(主に米国)で常に高い傾向にある。ただし他の地域でも徐々に増えつつあることは見逃せない。
消費者向けビジネスを手掛ける企業の場合、求職者の不満の影響は特に深刻になる。不快な思いをさせた求職者に「もうこの企業の客でいたくない」「この企業の商品やサービスは使わない」と思わせてしまう可能性があるからだ。
次回は、企業が候補者体験を高めるためのコミュニケーション方法をグロスマン氏に聞く。
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