MacやiPhoneの「法人向けサポート」は利用価値あり? そのサービス内容とはAppleのサポート「AppleCare」「AppleCare+」の違い【第3回】

Appleは一般消費者向けのサポートサービス「Apple Care」に加え、ユーザー企業向けのサポートサービス「AppleCare+ for Business Essentials」を提供している。同サービスの特徴やプランを詳しく説明する。

2023年11月17日 08時00分 公開
[Robert SheldonTechTarget]

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 Appleは「Mac」や「iPhone」などの同社製品を購入したユーザーに、無料の「Apple Care」や有料の「AppleCare+」などのサポートサービスを提供している。それに加えて同社は、Apple製品を業務利用するためのサービスを組み込んだ、ユーザー企業向けのサポートサービス「AppleCare+ for Business Essentials」と「AppleCare for Enterprise」も提供している。ユーザー企業のIT管理者がApple製端末の保証内容とサポート体制を手厚くしたい場合は、これらのサービスの契約を検討するとよい。具体的には、どのようなサポートサービスが利用可能なのか。

「AppleCare+ for Business Essentials」のサービス内容

 「Apple Business Essentials」(以下、Business Essentials)は、MDM(モバイル端末管理)とクラウドストレージを単一のプラットフォームにまとめたサービスだ。これを利用すると、IT管理者はApple製端末の設定や管理、従業員への配布が可能になる。IT管理者は、管理用のWebポータルとして「Apple Business Manager」が利用できる。このWebポータルを通して、Business Essentialsに加入している業務用のApple端末やその端末にダウンロードしているアプリケーション、端末の設定、各端末にひも付けされたエンドユーザーを一元管理できる。

 AppleはBusiness Essentialsで、複数のプランを用意している。各プランは、大きく2つのカテゴリーに分けることができる。1つ目のカテゴリーは「Employee plan」だ。このプランは一人一人のエンドユーザーと、そのエンドユーザーに関連付けられた端末を、Apple Business Managerの管理対象に含められる。加えてクラウドストレージが付属するという特徴を持つ。

 2つ目のカテゴリーは「Device plan」だ。これは端末だけを管理するためのプランで、エンドユーザーは端末にひも付けられていない。Device planはキオスク端末やディスプレイ端末として利用する端末での契約を想定しており、クラウドストレージは付属しない。

 Business Essentials向けの有料のサポートサービスとして、Appleは「AppleCare+ for Business Essentials」を用意している。Business Essentialsは、以下の3つのプランがあり、それぞれのプランで追加料金を支払うことでAppleCare+が利用できる。

シングルデバイス向けBusiness EssentialsとAppleCare+

 シングルデバイス向けBusiness EssentialsはEmployee planとDevice planの両方で利用できる。Employee planの場合は、端末を1台のみ所持するエンドユーザーをApple Business Managerで管理でき、50GBのクラウドストレージが付属する。Device planは端末を1台ごとにApple Business Managerで管理でき、クラウドストレージは付属しない。AppleCare+が付属しない同プランの利用料金は、1人のエンドユーザーまたは1台の端末につき月額2.99ドルだ。

 シングルデバイス向けBusiness EssentialsのAppleCare+に加入すると、24時間年中無休のサポートサービスが受けられる。加えて、1人のエンドユーザーまたは1台の端末につき年1回の修理クレジット(修理を受けられる権利)が付与される。シングルデバイス向けBusiness EssentialsにAppleCare+を付加した場合の利用料金は、1エンドユーザーまたは1端末につき月額9.99ドルだ。

マルチデバイス向けBusiness EssentialsとAppleCare+

 これはEmployee planのみで利用可能なBusiness Essentialsだ。1人のエンドユーザーに対し、3台までの端末をApple Business Managerで管理可能にする。このプランには1エンドユーザー当たり200GBのクラウドストレージが含まれる。利用料金は1エンドユーザーにつき月額6.99ドルだ。

 マルチデバイス向け Business EssentialsにAppleCare+を組み合わせると、年間2回の修理クレジットが付与され、24時間年中無休のサポートサービスが受けられるようになる。同プランの利用料金は1エンドユーザー当たり月額19.99ドルだ。

ストレージ強化型のマルチデバイス向けBusiness EssentialsとAppleCare+

 これはマルチデバイス向けBusiness Essentialsと似ているが、付属するクラウドストレージが2TBである点が異なる。利用料金はBusiness Essentialsのみの契約だと1エンドユーザー当たり12.99ドルで、AppleCare+を契約すると1エンドユーザー当たり月額24.99ドルとなる。

AppleCare+ for Business Essentialsは一般消費者向けのAppleCare+と何が違うのか

 AppleCare+ for Business Essentialsは、24時間年中無休で電話によるサポートを受けられる。さらに出張修理を申し込むと最短4時間でサービスが受けられる。Appleは修理を希望する端末を、Apple StoreまたはApple正規サービスプロバイダー(AASP)への持ち込みか、配送でも受け付けている。

 AppleはBusiness Essentialsを通して、同社製品のユーザー企業応対の専門家による、ユーザー企業向けの研修サービスも提供している。

 Business Essentialsは、中堅・中小企業をメインターゲットとしたサービスだ。Employee planはエンドユーザー数の具体的制限を設けていないが、Device planには200台までという制限がある。とはいえ複数のプランを購入して好きなように組み合わせることができるため、大企業であってもBusiness Essentialsを選べないわけではない。自社で利用するApple製端末が比較的少ない台数であれば、大企業でもBusiness Essentialsが適している可能性がある。


 第4回は、大企業向けのサポートサービスである「AppleCare for Enterprise」を詳しく説明する。

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