「従業員の給与」と「企業の業績」を上げるスキルアップ施策を、どうやって続ける?本当に効果的なスキルアップ施策【後編】

社内のスキルギャップを埋めるために従業員のスキルアップを推進することは、企業にとってさまざまなメリットが期待できる。スキルアップ施策の成果を確認し、継続させるには、どうすればよいのか。

2023年12月16日 05時00分 公開
[Christine CampbellTechTarget]

関連キーワード

eラーニング | 社員教育 | 人事


 従業員の働き方や求められるスキルは、変化を続けている。テレワークの浸透や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(感染症の世界的な流行)に伴う従業員の辞職・転職を受けて、企業にさまざまなスキルギャップ(仕事に必要なスキルと、従業員が持つスキルの差)が生まれた。スキルギャップの解消には従業員のスキルアップが不可欠だ。ただし企業は、スキルアップ施策をやみくもに実施するのではなく、効果や成否を適切に評価する必要がある。スキルアップ施策を成功に導く6つのステップのうち、5つ目と6つ目を紹介する。

ステップ5.利用しやすいトレーニングの提供

 一律的なスキルアップ施策では、従業員それぞれのニーズを満たすことは難しい。メディア企業O'Reilly Mediaでチーフピープルオフィサーを務めるジャンヌ・コルディスコ氏が推奨するのは、「従業員が自分のペースで学べるトレーニング」の提供だ。これにより、従業員がそれぞれの能力開発において重要な要素に集中できるようになる。

 エネルギー業界向けの人材サービス企業Energist HoldingsでCEO兼チェアマンを務めるジョナサン・ヒル氏によると、オンライントレーニングや外部の講師が提供するトレーニングが役立つ場合がある。「スキルアップトレーニングを提供する企業や学習ツールはたくさんあり、その中に従業員が必要なタイプのトレーニングが存在する可能性は十分ある」とヒル氏は話す。

 ヒル氏は、資格取得につながるトレーニングや能力開発施策に注目することの重要性も強調する。専門資格を持つ従業員がチームにいる場合、チームはその分野で一定の能力を有していることが証明され、能力をクライアントに示すことに役立つ。「従業員にとっても、資格はキャリアアップにつながる可能性がある」と同氏は言い添える。

ステップ6.スキルアップ施策の評価

 コルディスコ氏によれば、スキルアップ施策への投資がコスト、時間、労力、人材の面において十分なリターンを生み出しているかどうかを測るには、スキルアップ施策の評価が不可欠だ。具体的な評価方法としては以下がある。

  • 従業員からのフィードバックを収集し、従業員自身が成長しているかどうかを確認する
  • 新しいスキルが企業の成長に直結しているかどうかを確認する

スキルアップの未来

 今後のスキルアップ施策においては、先端技術を活用した学習が主役になり、パーソナライズされた学習が脚光を浴びるようになるとコルディスコ氏は考える。「企業はオンライン学習サービスを重視するとともに、VR(仮想現実)を活用したシミュレーションもより一般的になる」というのが同氏の予測だ。

 幾つもの著名な学術機関が、リーダーシップ開発を目的としたトレーニングを提供している。コルディスコ氏は、学術界と産業界の協力関係はこれからさらに強まるとみている。「今後、企業と高等教育機関が共同でスキルアップ施策を構築する機会が増える可能性がある」と同氏は言う。

 企業が従業員向けのスキルアップ施策を構築する際には、従業員の関心やフィードバックを収集することに加えて、外部機関と密に連携することも重要だ。スキルアップ施策の構築には準備が必要だが、最終的には企業と従業員に多大なメリットをもたらすはずだ。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

製品資料 株式会社インフォマート

国税OBが解説、令和7年度の税制改正をにらんだ「経理業務DX」の要点

令和7年度の与党税制改正大綱では最重要課題として、成長対策が強調された。特に、所得税や法人税などに関する6つのトピックスも見逃せない。これらを基に、企業が経理業務DXに取り組む上で押さえておきたいポイントについて解説する。

市場調査・トレンド 株式会社インフォマート

調査レポート:インボイス制度開始でどう変わった? 請求書業務の現状と課題

インボイス制度開始後の業務変化についてアンケート調査を実施した。結果から、請求書業務の電子化が進んだ一方、多くの現場で業務負荷の低減を実感できていない現状が見えてきた。現場が直面する具体的な課題と、その解決策を紹介する。

製品資料 株式会社インフォマート

紙、PDF、デジタルのメリット・デメリットを比較:請求業務を楽にするのは?

請求業務において、紙やPDFで発行された請求書を「AI-OCR」を用いてデータ化し取り込む企業も多いが、請求データを最初からデジタルで処理する「DtoD」のシステムを活用する方法もある。本資料では3つの方法を徹底比較する。

事例 株式会社インフォマート

JR東日本など3社の事例に学ぶ、請求業務“全体”をデジタル化する方法

ペーパーレス化や業務効率化の一環で請求書のデジタル化が進む中、請求書そのものだけでなく請求業務全体をデジタル化する動きが加速している。JR東日本、大創産業、三菱地所の発行・受取業務における改革を基に、進め方や効果を探る。

比較資料 アイティメディア広告企画

ユーザーレビューに見る、自社に適したタレントマネジメントシステムの選び方

社内の人材情報を効果的に活用するための方法として、タレントマネジメントシステムの導入が広がっている。しかし、さまざまな製品が登場する中で、自社に適した製品をどう選べばよいのか。そのヒントを紹介する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。