Microsoftのバックアップサービス「Microsoft 365 Backup」は、「Microsoft 365」の全てのアプリケーションが保護対象になるわけではない。同サービスの“守備範囲”や、使うべき理由とは。
Microsoftが2023年7月に発表した「Microsoft 365 Backup」は、同社のアプリケーションをサブスクリプション形式で利用できる「Microsoft 365」向けのバックアップサービスだ。本稿はMicrosoft 365 Backupの対象になるアプリケーションと、どういった場合に同サービスが役立つのか、何が注意点になるのを紹介する。
Microsoft 365 BackupはMicrosoft 365の主要なアプリケーションに対し、バックアップとリカバリー(データ復元)の機能を提供する。対象アプリケーションには、
がある。
同サービスがプレビューの段階にある2023年1月現在、Web会議ツール「Microsoft Teams」や文書作成ツール「Microsoft Word」、表計算ツール「Microsoft Excel」などは対象外となっている。公式ページによれば、Microsoft Teamsは「近日公開」となっている。
GoogleもSaaS(Software as a Service)製品として、オフィススイート「Google Workspace」(旧「G Suite」)を提供している。Googleは同製品のバックアップサービスを提供しておらず、データ保護の対策を用意することはユーザー企業の責任となる。
調査会社The Futurum Groupのアナリスト、クリスタ・マコーマー氏によると、Microsoft 365やGoogle Workspaceを中心としたSaaS製品では、オンプレミスのシステムとは違うバックアップ手法が必要になる。IT部門が承認しない形で、事業部門が独自の判断でSaaSを採用していることもある。そうした中でマコーマー氏は、「利用中のSaaSでバックアップサービスを追加購入できることで、ユーザー企業はデータ保護の対策に取り組みやすくなる」と語る。
調査会社Data Center Intelligence Group(DCIG)のCEO(最高経営責任者)ジェローム・ウェント氏は、まだMicrosoft 365 Backupの認知度が低いと見ている。「当分の間、大半の企業はMicrosoft 365 Backupを導入せず、既存のバックアップツールを利用し続けるだろう」(ウェント氏)。Microsoft 365 Backupの導入を検討する際は、Microsoftのデータセンターで障害が発生してMicrosoft 365 Backup自体が使えなくなるといったシナリオも想定する必要があると同氏は指摘する。
次回は、他社のSaaS向けバックアップ製品とMicrosoft 365 Backupの“共存”を考える。
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