ドローンサービスを手掛けるマレーシアのAerodyneは、世界規模でサービスを提供するためのインフラとしてAWSのクラウドサービスを利用する。AWSを利用する狙いと、生み出している成果とは。
マレーシアを拠点にして世界各国でドローンの運用を支援するスタートアップ(創業後間もない企業)Aerodyneは、独自のSaaS(Software as a Service)「DRONOS」を提供している。ドローンを介したデータの取得やデータ分析を可能にするインフラとして同社が利用しているのが、Amazon Web Services(AWS)の同名クラウドサービス群だ。
Aerodyneは衛星画像や気象データ、ドローンが取得したデータを格納するストレージとして、オブジェクトストレージ「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)を使用。データ分析のための機械学習モデルの構築や訓練、アプリケーションへの実装には、機械学習モデル構築サービス「Amazon SageMaker」を使用している。同社がAWSを利用する理由と、ドローンサービスが創出している成果を探る。
Aerodyneの創業者兼グループCEOのカマルル・A・ムハメド氏によると、ドローンは幾つかの産業分野において成果を上げているという。下記はその一例だ。
具体的な例としてAerodyneは、マレーシアのエネルギー大手Petroliam Nasional(PETRONAS)の設備管理業務のデジタル化を支援した案件を挙げる。PETRONASは合計2000キロに及ぶガスパイプラインを監視するために、航空機や車の代わりにドローンを使っている。センサーが異常を検知したとき、AI(人工知能)技術を搭載したドローンが調査を実施する。「ドローンは検知した内容が対処不要なものなのか、深刻なリスクがあるものなのかを判断できる」と、ムハメド氏は説明する。
2014年の創業以来、Aerodyneは通信分野を中心にドローンによる支援を続けてきた。携帯電話の基地局をドローンで監視できるようにすれば、作業員が現場に出向いて点検する回数が減り、基地局の運用コスト削減につながる。
AWSのサービスを使う理由や利点として、ムハメド氏は以下の点を挙げる。
Aerodyneは45カ国に1000人以上のドローン専門家チームを有しており、各国の需要に応じてシステムを拡張できることが重要だ。創業当初はユーザー企業ごとに特注でシステムを開発していたが、拡張性を持たせるために、ユーザー企業が必要とする共通の機能をシステムに組み込んだ。ユーザー企業はシステムのダッシュボードに、自社で測定したい指標を選択して組み込むことが可能だ。例えば機器の故障予知に熱検査の検査結果を使いたい場合、温度差に着目するか、絶対温度に着目するかを選択できる。「ユーザー企業が望む機能を、望む方法で使用できるようにさまざまな選択肢を提供している」とムハメド氏は説明する。
SAPやOracleのERP(統合基幹業務システム)と連携するAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を提供していることも、Aerodyneのサービスの特徴だ。「データが孤立する状態は望ましくないため、ERPとのデータ連携に注力している」(ムハメド氏)
Aerodyneはテキストや画像などを生成するAI技術「生成AI」の活用に向けた準備を進めている。ユーザー企業がドローンの飛行計画を作成したり、保有資産を管理したりする作業をより容易にすることが狙いだ。それに当たり、1PB(ペタバイト)規模のデータを学習した大規模言語モデル(LLM)を構築する計画だという。
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