世界約150カ国で食品ビジネスを展開するMondelēz International。課題解決に積極的に技術を活用する同社を支えるメッセージとは。
近年、「VR」(仮想現実)や「AR」(拡張現実)、「MR」(複合現実)といった「XR」(Extended Reality)の技術を製造現場で活用する動きが注目されている。チョコレート菓子や飲料の事業を世界規模で展開するMondelēz International(Mondelēz)は、製造拠点の従業員向けに、XRを活用して作業指示を出すシステムを構築した。製造ラインで発生する不良品や欠陥に対処する作業工程の効率を改善し、計画外のダウンタイム(停止時間)を短縮することに成功した。その他にも、Mondelēzは業務改善のためにさまざまな技術を導入した。どのような成果が上がり、それを後押しした要因は何だったのかを探る。
Mondelēzは、運営する農場ではドローンを導入した他、機械学習などの人工知能(AI)技術を使った分析システムを構築した。それによって作物の健康状態の監視や病気の検出が可能になった。同社は収穫量の向上や使用水量の削減などに取り組んでいる。
同社が業務改善のために導入した技術の中で特筆すべきものが「ブロックチェーン」だ。同社は商品のトレーサビリティーを高め、食品の安全基準を満たす目的でブロックチェーンを活用しており、リコール対象商品の追跡にかかる時間を約1週間から約1日まで短縮できたという。
技術の活用を全社で展開する上で重要な点が、Mondelēzには2つあるという。1つ目は、経営陣による支援だ。これによって全社を横断した技術の導入が可能になったという。2つ目は、技術の導入を監督した部署が全社に向けたメッセージだ。同部署は、「新しい技術の活用が失敗に終わることを恐れる必要はない」というメッセージを明確に打ち出した。「失敗しながらも前進する」というスローガンを掲げて、同部署は新たな技術を積極的に採用して、利益を生み出してきた。
Mondelēzでデジタルサービス部門のバイスプレジデントを務めるサンジェイ・グルブクスニ氏によると、同社は、各技術活用事例が総売上高と純利益に与える影響を数値化して評価しているという。製造拠点では、作業工程を簡略化し、課題解決のために技術を活用する「デジタルファースト」の考え方を従業員の間に浸透させることで、生産性を向上させることに成功したと同氏は説明する。
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