「メタバース」は人事部門の間で利用が広がる可能性があると、専門家は主張する。その根拠とは何なのか。人事部門がメタバースの活用で得られる効果とは。
ITの進化は、働き方に大きな影響を与えてきた。今後はどのようなITが、変化を引き起こすことになるのか。人事分野で台頭し得る4つのトレンドのうち、2つ目を紹介する。
巨大仮想空間「メタバース」は、いまだ本格的な普及には至っていない。だが2023年には、企業の人事部門がメタバースの活用に本腰を入れる可能性がある。
国際会計事務所/コンサルティング会社PricewaterhouseCoopers(PwC)は、従業員研修へのメタバース活用が広がる可能性があると考えている。2022年7月、PwCはメタバースに関する調査レポートを発表した。米国のビジネスリーダー1000人に対する調査に基づく同レポートによると、「興味がある今後のメタバース利用事例」として最多(42%)の回答を集めたのが従業員研修だった。
「メタバースは特に新人研修に大変に役立つ可能性を秘めている」と、PwCで米国のテクノロジー、メディア、通信担当のバイスチェア兼グローバルテクノロジーリーダーを務めるエマニュエル・リベット氏は話す。例えばメタバースを使うことで、全ての新入社員に対して自社のセキュリティポリシーに関するオンライン講座をまとめて受講させることができる。
Zoom Video Communicationsの「Zoom」、Microsoftの「Microsoft Teams」といったWeb会議ツールを使って、研修を実施することは可能だ。それでもメタバースの方が「受講体験が優れている」とリベット氏は語る。メタバースなどの仮想空間では、現実空間とは異なり「周囲の気になるものを効果的に排除できるので、非常に集中しやすい」と同氏は説明する。
従業員はメタバースを自ら体験することで、メタバースでできることを学び、自社の製品やサービスに応用しやすくなると、リベット氏は考えている。メタバースを利用した従業員が主導して、自社のビジネスにイノベーションを起こす可能性がある。「メタバースは無視できない」と同氏は強調する。
第3回は、3つ目のトレンドを紹介する。
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