ストレージベンダーはストレージの技術開発の手を緩めていない。一方でデータは驚くほどのペースで増大を続けている。技術開発は間に合うのか。
データが至る所で発生し、企業は“データの海”に溺れようとしている。今後のデータ増加の予測を踏まえると、データを保管する場所がもうなくなるのではないかという疑問が生じる。ストレージに何が起きているのか。
調査会社IDCは、ストレージベンダーSeagate Technologiesと共同で2018年に公開した調査レポート「Data Age 2025」で、世界で年間に生成されるデータ量が、2025年に175Z(ゼタ)Bに達すると予測した。これは2018年の推定値33ZBに対して、年平均で約27%増大していることになる。調査会社Statistaの推計もそれに近い。Statistaの調査によれば、2025年に世界で生成されるデータ量は181ZBだ。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)の影響で、自宅などオフィス以外で働くテレワークが普及した。それに伴い、紙を使っていた業務をデジタル化するなど、データを利用する動きが勢いづいた。テレワークが企業に定着することで、今後はデータの増加ペースが調査会社の予測を上回ってもおかしくない。
機械学習といったAI(人工知能)技術の進歩、ビッグデータ活用の浸透もデータ生成を加速させている。それだけではない。より大容量のモバイル通信を可能にした「5G」(第5世代移動通信システム)の台頭、さまざまな機器をネットワークに接続するIoT(モノのインターネット)もデータ量の増大を助長している。こうした複数の要因が重なり、データは急速に増えているのだ。
同じスペースでより多くのデータを保管するためのストレージ技術は進化を続けており、その進歩に期待が寄せられる。ただしストレージは5年先、10年先もデータ保管の役割を果たし続ける必要がある。データ増大のペースを考えると、ストレージで保管可能な容量を、世界中のデータ量が上回るのではないかという懸念が残る。とはいえ現時点では予測できない革新的なストレージ技術が、これから登場することも十分に考えられるため、希望はまだある。
これまでのところ、パンデミックが発生してデータ利用が加速しても、ストレージベンダーはその役割を十分に果たしてきた。ストレージベンダーが毎年のように発表するストレージ製品は、前年に発表した製品の容量を上回っているのが通例だ。この傾向は今後も続くと考えられる。
記録媒体に目をやれば、HDDにおいてもSSDにおいても、大容量化の技術に進化が見られる。特にSSDの進歩は目覚ましい。容量の点では、SSDがHDDとの差を縮めている状況だ。企業が磁気テープに再び関心を寄せていることも注目に値する。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
データ生成デバイスの進化・多様化により、保存すべきデータ容量は急増した。その管理においては、コストとパフォーマンスのバランスが課題となっている。解決策の1つとして注目される「HPSS」の効果について、導入事例を紹介したい。
業務のデジタル化が進み、データ量やワークロードが増大していた大阪府農協電算センター。それによりインフラの負荷が高まり、性能を向上させることが喫緊の課題になっていた。本資料では同社がどのようにインフラを移行したのか解説する。
AIでは構造化データの活用が進む一方、クラウド普及に伴いデータの分散化が加速している。この状況下で課題となるのが、レガシーストレージの存在だ。本資料では、構造化データに適したストレージ戦略を紹介する。
データ環境の急変は、企業のストレージ課題を複雑化させている。性能や拡張性、データ保護、分散環境の一元管理、コスト最適化など、自社の課題に合わせた製品・サービスをどう見つければよいのか。それに役立つ製品ガイドを紹介したい。
構造化データ/非構造化データの両方を適切に処理する必要がある今、エンタープライズデータストレージには、より高度な要件が求められている。こうした中で注目される、単一障害点のないAI主導の分散型ストレージプラットフォームとは?
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...